更新日:2025/06/27
皆さんは、「半夏生」という言葉をご存知ですか?農家の方にはとても大切な日ということですが、あまり聞きなじみのない言葉かもしれません。今回は半夏生についてのお話です。
半夏生をご説明するには二十四節気が関係しているため、はじめに二十四節気についてお話しします。二十四節気とは、一年を24等分し、15日ごとの節気に分けたものです。今でも立春、春分など季節を表す言葉として用いられています。起源は戦国時代の古代中国で、飛鳥・奈良時代の日本に伝来したといわれ、当時は稲作など農業を中心とした生活をしていました。そのため、季節の目安となる二十四節気が役に立ち、定着しました。各節気の名称は、黄河下流域の季節に合わせた名前になっており、日本に伝わっても、そのままの名前で使われていました。しかし、黄河下流と日本では気候が違うため、名前や意味などは実際の日本の気候とは少しズレていました。
半夏生(はんげしょう)とは、夏至から11日目の日から5日間を指します。先ほど、二十四節気は日本の気候と少しズレがあるとお話ししました。そのため、二十四節気よりもより正確に季節の移り変わりを掴むために、「雑節(ざっせつ)」という、日本独自の暦日(れきじつ)が設けられ、日々の生活の目安にしました。雑節は全部で9つで、「節分」「彼岸」「土用」などがあります。ちなみに2025年の夏至は6月21日です。そこから数えて11日目ごろなので、2025年の半夏生は7月1日からの5日間です。
半夏生の名前の由来になっている説は2つあります。一つ目は、半夏生の「半夏」は「烏柄杓(からすびしゃく)」というサトイモ科の薬草で、この薬草が生える時期を「半夏生」と呼ぶようになった説。二つ目は、「半夏」とは別の「ハンゲショウ(別名カタシログサ)というドクダミ科の草が、名前の通り半分白くなり、化粧をしているように見える時期なのでこの時期が半夏生といわれるようになったという説です。
半夏生の期間は「物忌みの日」とされていました。半夏生の間に降る雨は「天から毒が降ってくる」という言い伝えがあり、井戸にふたをする習わしがありました。それ以外にも、地域によってさまざまな言い伝えが残されています。
●青森県半夏生の後に田植えをすると一日に一粒ずつ収穫が減る
●埼玉県竹の花が咲いたり消えたりしているのを見ると命を落とすので、竹林に入ってはならない
●三重県ハンゲという名の妖怪が徘徊するので夕方以降は外を歩いてはならない
このようにさまざまな言い伝えが残されていますが、これは気温が高くなり湿度も高く、食中毒が起こりやすいことへの戒めから生まれたのではないかとされています。
節分に恵方巻きを食べたり、土用の丑の日にうなぎを食べるのは有名ですよね。それと同様に、半夏生にも風習があるんです。関西地方には半夏生にタコを食べる風習があります。これは、植えた苗がタコの足のように大地にしっかりと根づくように、タコの足のように稲がたくさん増えるようにという願いが込められています。香川県では、その年に収穫された麦を使ってうどんを打ち、農作業の疲れを労いうどんを振舞う習慣もあります。福井県では、焼きサバを食べる風習があります。特に福井県大野市を中心とした地域では、一匹丸ごと焼いた「丸焼きサバ」を一人一尾食べる風習が伝わっています。
いかがでしたか?半夏生について知っていただけたと思います。ぜひ、今年の半夏生は、タコやうどんなどを食べてみて下さいね。
Text by あお/食育インストラクター
皆さんは、「半夏生」という言葉をご存知ですか?
農家の方にはとても大切な日ということですが、あまり聞きなじみのない言葉かもしれません。
今回は半夏生についてのお話です。
【二十四節気とは?】
半夏生をご説明するには二十四節気が関係しているため、はじめに二十四節気についてお話しします。
二十四節気とは、一年を24等分し、15日ごとの節気に分けたものです。
今でも立春、春分など季節を表す言葉として用いられています。
起源は戦国時代の古代中国で、飛鳥・奈良時代の日本に伝来したといわれ、当時は稲作など農業を中心とした生活をしていました。
そのため、季節の目安となる二十四節気が役に立ち、定着しました。
各節気の名称は、黄河下流域の季節に合わせた名前になっており、日本に伝わっても、そのままの名前で使われていました。
しかし、黄河下流と日本では気候が違うため、名前や意味などは実際の日本の気候とは少しズレていました。
【半夏生とは?】
半夏生(はんげしょう)とは、夏至から11日目の日から5日間を指します。
先ほど、二十四節気は日本の気候と少しズレがあるとお話ししました。
そのため、二十四節気よりもより正確に季節の移り変わりを掴むために、「雑節(ざっせつ)」という、日本独自の暦日(れきじつ)が設けられ、日々の生活の目安にしました。
雑節は全部で9つで、「節分」「彼岸」「土用」などがあります。
ちなみに2025年の夏至は6月21日です。
そこから数えて11日目ごろなので、2025年の半夏生は7月1日からの5日間です。
【半夏生の名前の由来】
半夏生の名前の由来になっている説は2つあります。
一つ目は、半夏生の「半夏」は「烏柄杓(からすびしゃく)」というサトイモ科の薬草で、この薬草が生える時期を「半夏生」と呼ぶようになった説。
二つ目は、「半夏」とは別の「ハンゲショウ(別名カタシログサ)というドクダミ科の草が、名前の通り半分白くなり、化粧をしているように見える時期なのでこの時期が半夏生といわれるようになったという説です。
【「半夏生」にまつわる言い伝え】
半夏生の期間は「物忌みの日」とされていました。
半夏生の間に降る雨は「天から毒が降ってくる」という言い伝えがあり、井戸にふたをする習わしがありました。
それ以外にも、地域によってさまざまな言い伝えが残されています。
●青森県
半夏生の後に田植えをすると一日に一粒ずつ収穫が減る
●埼玉県
竹の花が咲いたり消えたりしているのを見ると命を落とすので、竹林に入ってはならない
●三重県
ハンゲという名の妖怪が徘徊するので夕方以降は外を歩いてはならない
このようにさまざまな言い伝えが残されていますが、これは気温が高くなり湿度も高く、食中毒が起こりやすいことへの戒めから生まれたのではないかとされています。
【半夏生の風習について】
節分に恵方巻きを食べたり、土用の丑の日にうなぎを食べるのは有名ですよね。
それと同様に、半夏生にも風習があるんです。
関西地方には半夏生にタコを食べる風習があります。
これは、植えた苗がタコの足のように大地にしっかりと根づくように、タコの足のように稲がたくさん増えるようにという願いが込められています。
香川県では、その年に収穫された麦を使ってうどんを打ち、農作業の疲れを労いうどんを振舞う習慣もあります。
福井県では、焼きサバを食べる風習があります。
特に福井県大野市を中心とした地域では、一匹丸ごと焼いた「丸焼きサバ」を一人一尾食べる風習が伝わっています。
いかがでしたか?
半夏生について知っていただけたと思います。
ぜひ、今年の半夏生は、タコやうどんなどを食べてみて下さいね。
Text by あお/食育インストラクター