更新日:2025/05/26
和菓子を作るときにレシピでみかける「白玉粉」や「上新粉」、「だんご粉」といった言葉。いろいろな粉がありますが、皆さんはその違いをご存知ですか?これらはすべてお米から作られていますが、製法によって風味や食感が異なります。今回は和菓子を作るときによく登場する米粉の種類についてご紹介します。
その昔、菓子は「果子」と書き、クリやナシ、アケビ、イチゴなどの果物や木の実のことを指していました。はじめはそのまま食べていた果物や木の実も、次第に乾燥させるなどして保存するようになりました。その木の実を粉末状にし、丸めてゆでて食べるようになり、これが団子やもちのはじまりとされています。では、米粉はいつから使われているのでしょう?米粉の原料であるお米は、縄文時代後期に伝わり、弥生時代に広まっていきました。その後、遣唐使によって米粉や小麦粉、豆類を揚げた「唐菓子」が伝わり、これが米粉のはじまりと言われています。本格的に米粉が使われるようになったのは、江戸時代に入ってからのようです。
和菓子で使われる米粉の原料は、普段主食として食べている「うるち米」と「もち米」の2種類があります。この原料となるお米を生のまま粉状にするか、一度加熱してから粉にするかによってさらに粉の種類が分かれます。
■うるち米を原料とした米粉うるち米で作られる米粉を使った和菓子は、あまり伸びず、歯切れがよいのが特徴です。
①上新粉うるち米を水洗いして乾燥させたあと、細かく挽いたものです。米の風味や歯ごたえを求める「だんご」、「草もち」、「柏もち」などに使用されます。
②上用粉(薯蕷(じょうよ)粉)作り方は上新粉と一緒ですが、上新粉より粒が細かいのが特徴です。薯蕷粉とも呼ばれ、「薯蕷まんじゅう」をはじめ、「外郎(ういろう)」の材料としても使われます。
■もち米を原料とした米粉もち米で作られる米粉を使った和菓子は、コシが強く、伸びがよいのが特徴です。
①もち粉もち米を水洗いして乾燥させたあと、細かく挽いたものです。(製法は上新粉と同じですが原料が異なります)粒の細かさによって「求肥粉」、「羽二重粉」とも呼ばれます。米の風味が強く、もち菓子にすると冷めてもかたくなりにくいので、「大福」などに使われます。
②白玉粉もち米を水洗いし、水挽きしてから水にさらし、沈殿したものを乾燥させたものです。つるっとなめらかな食感で伸びがあり、「白玉だんご」や「桜もち」などに使用されます。
③道明寺粉もち米を水洗いして水につけたあと、蒸してから乾燥させ、それを粉砕したものです。大阪の尼寺「道明寺」で作られていた保存食の「糒(ほしいい)」が起源と言われ、それを粉にし和菓子にも使われるようになりました。なめらかでモチモチとした独特の食感があり、「桜もち」や「椿もち」などに使われます。
④みじん粉もち米を水洗いして水につけたあと、蒸して餅にし、さらにこれを色がつかないように焼き上げて粉末状にしたものです。すでに火が入っているので、半生菓子などに加熱せずに使うことができます。
さて、まだ登場していない「だんご粉」とは、いったいどのようなものなのでしょうか?だんご粉は、うるち米、もち米のどちらか一方を使って作るのではなく、両方を使った米粉のことです。米を水洗いし乾燥させたあと、細かく挽いて作られます。白玉粉同様、蒸したりせず、水を加えて捏ねた生地をお湯でゆでるだけで簡単にだんごが作れます。もち粉や白玉粉よりもかたさのある食感に仕上がります。
同じ原料を使っていても、製法などによって味や食感が異なるのが不思議ですね。粉の違いを覚え、和菓子作りを楽しんでください。
Text by まち/食育インストラクター
和菓子を作るときにレシピでみかける「白玉粉」や「上新粉」、「だんご粉」といった言葉。
いろいろな粉がありますが、皆さんはその違いをご存知ですか?
これらはすべてお米から作られていますが、製法によって風味や食感が異なります。
今回は和菓子を作るときによく登場する米粉の種類についてご紹介します。
【米粉の歴史】
その昔、菓子は「果子」と書き、クリやナシ、アケビ、イチゴなどの果物や木の実のことを指していました。
はじめはそのまま食べていた果物や木の実も、次第に乾燥させるなどして保存するようになりました。
その木の実を粉末状にし、丸めてゆでて食べるようになり、これが団子やもちのはじまりとされています。
では、米粉はいつから使われているのでしょう?
米粉の原料であるお米は、縄文時代後期に伝わり、弥生時代に広まっていきました。
その後、遣唐使によって米粉や小麦粉、豆類を揚げた「唐菓子」が伝わり、これが米粉のはじまりと言われています。
本格的に米粉が使われるようになったのは、江戸時代に入ってからのようです。
【和菓子でよく使われる「米粉」の種類】
和菓子で使われる米粉の原料は、普段主食として食べている「うるち米」と「もち米」の2種類があります。
この原料となるお米を生のまま粉状にするか、一度加熱してから粉にするかによってさらに粉の種類が分かれます。
■うるち米を原料とした米粉
うるち米で作られる米粉を使った和菓子は、あまり伸びず、歯切れがよいのが特徴です。
①上新粉
うるち米を水洗いして乾燥させたあと、細かく挽いたものです。
米の風味や歯ごたえを求める「だんご」、「草もち」、「柏もち」などに使用されます。
②上用粉(薯蕷(じょうよ)粉)
作り方は上新粉と一緒ですが、上新粉より粒が細かいのが特徴です。
薯蕷粉とも呼ばれ、「薯蕷まんじゅう」をはじめ、「外郎(ういろう)」の材料としても使われます。
■もち米を原料とした米粉
もち米で作られる米粉を使った和菓子は、コシが強く、伸びがよいのが特徴です。
①もち粉
もち米を水洗いして乾燥させたあと、細かく挽いたものです。(製法は上新粉と同じですが原料が異なります)
粒の細かさによって「求肥粉」、「羽二重粉」とも呼ばれます。
米の風味が強く、もち菓子にすると冷めてもかたくなりにくいので、「大福」などに使われます。
②白玉粉
もち米を水洗いし、水挽きしてから水にさらし、沈殿したものを乾燥させたものです。
つるっとなめらかな食感で伸びがあり、「白玉だんご」や「桜もち」などに使用されます。
③道明寺粉
もち米を水洗いして水につけたあと、蒸してから乾燥させ、それを粉砕したものです。
大阪の尼寺「道明寺」で作られていた保存食の「糒(ほしいい)」が起源と言われ、それを粉にし和菓子にも使われるようになりました。なめらかでモチモチとした独特の食感があり、「桜もち」や「椿もち」などに使われます。
④みじん粉
もち米を水洗いして水につけたあと、蒸して餅にし、さらにこれを色がつかないように焼き上げて粉末状にしたものです。
すでに火が入っているので、半生菓子などに加熱せずに使うことができます。
さて、まだ登場していない「だんご粉」とは、いったいどのようなものなのでしょうか?
だんご粉は、うるち米、もち米のどちらか一方を使って作るのではなく、両方を使った米粉のことです。
米を水洗いし乾燥させたあと、細かく挽いて作られます。
白玉粉同様、蒸したりせず、水を加えて捏ねた生地をお湯でゆでるだけで簡単にだんごが作れます。
もち粉や白玉粉よりもかたさのある食感に仕上がります。
同じ原料を使っていても、製法などによって味や食感が異なるのが不思議ですね。
粉の違いを覚え、和菓子作りを楽しんでください。
Text by まち/食育インストラクター