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たべて元気♪「食だより」

食材・料理

ほうれん草は結石のもと…?その噂の真偽はいかに!

更新日:2022/11/21

晩秋から冬にかけて、いろいろな葉物野菜が旬を迎えます。
その代表的な存在ともいえるほうれん草は、和食をはじめ何でもよく合うので、日々の食事で大活躍する野菜ですよね。
しかし、「ほうれん草を食べると結石になる」という不穏な噂を耳にすることも…?
今回は、ほうれん草と健康についてのお話です。

【食べ物で結石ができる?】

まず、噂の真偽を確かめるために、結石のメカニズムを確認してみましょう。
結石とは、尿の中に含まれるカルシウムやマグネシウムなどが集まって結晶化したものです。
これが尿管に詰まってしまい、激痛を引き起こすのが尿管結石です。
「数ある病気の中でも屈指の痛さ」や「人生最大の激痛」とまで言われるほどで、できることならかかりたくない病気のひとつでしょう。
尿は生理現象なので、人間が食べ物や飲み物を飲んでいれば必ずつくられます。
そのため、結石は食生活と関わりのある疾患とされます。
ただし、結石ができるまでの流れは完全に解明されたわけではないことは留意しておきましょう。
食生活に気をつけるのは第一ですが、ほかにも不摂生をしていないか見直してみるとよいですね。

【ほうれん草は結石のもとになるか?】

結石と食べ物に関係があるとはいえ、なぜほうれん草だけが結石に注意と言われるのでしょう?
その理由が、結石を構成する主要な成分のひとつ、シュウ酸カルシウムです。
シュウ酸カルシウムはいろいろな食品に含まれているので、食べないようにすることはまず不可能というぐらい身近な存在です。
ほうれん草は他の食品と比べてシュウ酸カルシウムを多く含むため、食べると結石ができると言われるようになったそうです。
しかし、シュウ酸カルシウムは水溶性のため、下ゆですれば大部分が溶け出します
アクの強いほうれん草は下ゆでをしてから使うことが多いですが、結石を心配する場合は鍋物などに使うときでも下ゆでをすれば、それほど不安になることはありません(※これは健康な人の場合です。すでに結石・腎疾患などの発症歴があり、医師・管理栄養士から個別に食事指導を受けている場合は別です)。
ほうれん草はβ‐カロテン・ビタミンC・鉄などを豊富に含む緑黄色野菜です。
値段も手ごろで扱いやすい野菜なので、「結石になるかもしれないから食べない!」のはもったいないと言ってもよいぐらいですよ☆

【結石の盲点?カルシウム】

さきほど、「結石をつくるシュウ酸カルシウム」と書いたので、もしかしてカルシウムを摂ると結石ができるのでは…?と思われるかもしれません。
以前はカルシウムによって結石ができると考えられた時代もありました。
しかし、近年は研究が進み、この説は否定されています。
むしろ、一日あたりの推奨量のカルシウムをきちんと摂っていると、シュウ酸と結合して体内への吸収を抑えてくれるため、結石予防に役立ちます。
これらのことから考えると、カルシウム不足の方が、結石になりやすい傾向にあるといえるのです。
日本人は全年齢でカルシウムの摂取量が不足ぎみの人が多いので、知らないうちに結石のリスクを抱えている可能性も…?
なお、ほうれん草はカルシウムが多く、野菜の中でもトップクラスの含有量です。
常識的な分量で召し上がる分には、カルシウム補給の面でも効率的な食品なのですね!

ほうれん草をめぐる不穏な噂の真偽について、いかがでしたか?
結石になるからほうれん草を食べないのではなく、糖質・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルのバランスがよい食生活と、十分な水分補給を心がけた方が効果的です。

冬に旬を迎えるほうれん草はビタミンCの含有量が増え、甘味も増しておいしいのでぜひ召し上がってくださいませ☆

Text byはむこ/食育インストラクター