更新日:2024/10/02
国連加盟193か国が2016年~2030年の15年間で達成するために掲げた目標、SDGs(持続可能な開発目標)の中に、『1.貧困をなくそう』、『2.飢餓をゼロに』という項目があります。“「貧困」や「飢餓」は海外の話でしょ?”と思う方も多いようですが、日本でも現実に起きている問題です。今回は、「貧困」と「飢餓」の現状を見ていきたいと思います。
貧困にはいくつか考え方がありますが、大きく「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2つに分けられます。とりわけ“服や食べるもの、住居がない”といった、人間として最低限の生活を送れない「絶対的貧困」は、最も緊急の問題です。「絶対的貧困」の具体的な指標として、「国際貧困ライン」という世界銀行が定めた『1日2.15米ドル未満で暮らしていること』というのが挙げられます。2.15米ドルは、日本円に換算すると約340円(2024年6月時点)。この価格で食べ物、飲み物、電気・ガス・水道、家でかかるお金などを1日分まかなう生活をしなくてはなりません。世界では「絶対的貧困」の人が約6.5億人もおり、世界人口の12人に1人がこの状態で暮らしています。
日本では一般的に貧困や飢餓は海外の問題と捉えられがちですが、実際には日本国内でも食事の量や栄養が十分に摂取できず、死には至らなくても健康に影響を及ぼすケースが存在します。主な原因としては、経済的な困難や生活環境の変化、高齢者の孤立などが挙げられます。
<日本では「相対的貧困」が起こっている>「相対的貧困」とは、一定の収入水準以下の生活を余儀なくされている状態を指します。一般的に、“その国の所得の中央値の半分(貧困ライン)を下回っているかどうか”で判断します。厚生労働省の調査によると2021年の貧困ラインは127万円となっており、日本の相対的貧困率は15.4%に達していると言われています。日本の相対的貧困の人口としては、約1800万人が貧困ライン以下で生活していることになります。
相対的貧困の食の問題として、以下のことが挙げられます。
●食事の質的な問題相対的貧困状態にある家庭では、安価な食材や加工食品を選ぶ傾向があります。その結果、食事の栄養バランスが乱れ、肥満や非感染性疾患(NCDs)のリスクが増加する可能性があります。
●食事の量的な問題必要な栄養を摂るための食事量を確保することが困難で、結果的に栄養不足に陥る可能性もあります。
飢餓とは十分な食べ物を食べられずに栄養不足になり、健康を保つことができなくなった状態を指します。現在、世界では約7.4億人が飢餓に苦しんでいます。これは世界人口の9人に1人の割合で、飢餓に苦しむ人の多くは途上国に住む人々です。飢餓が最も広がっている地域はアフリカです。そして、飢餓人口が最も多いのはアジア(特に南アジア)で、約4億人以上もの人が飢餓で苦しんでいます。
どこか他人事のように考えてしまいがちな「貧困」や「飢餓」ですが、上記でご紹介したようにどちらも日本で起こっています。では、具代的にはどのような事をすれば、貧困や飢餓を減らせるのでしょうか?
・フードバンクへ食品を寄付する・食べられるだけの食料を購入する事で、食品ロス削減に協力する・「子ども食堂」の支援に携わる・SDGsに取り組んでいる企業のフェアトレード商品を購入し、生産者に公正な利益を分配する・飢餓問題に取り組んでいるNPOやNGOに寄付をして、国際協力に参加する
日本では、政府や地方自治体が食品ロス削減や給食制度の充実、低所得層への支援策などを通じて、国内の飢餓問題に取り組んでいます。そのほか、国際的な支援活動にも積極的に参加し、世界的な問題解決に協力しています。
「貧困」と「飢餓」は隣り合わせです。この2つの問題を私たち日本人も決して他人事だと思わず、「食べる幸せ」を皆で分かち合える世界にするために、私たち1人1人が行動を起こすことが大切です。皆さんも、できることから始めてみませんか?
Text by ろい/食育インストラクター
国連加盟193か国が2016年~2030年の15年間で達成するために掲げた目標、SDGs(持続可能な開発目標)の中に、『1.貧困をなくそう』、『2.飢餓をゼロに』という項目があります。
“「貧困」や「飢餓」は海外の話でしょ?”と思う方も多いようですが、日本でも現実に起きている問題です。
今回は、「貧困」と「飢餓」の現状を見ていきたいと思います。
【「貧困」とは?】
貧困にはいくつか考え方がありますが、大きく「絶対的貧困」と「相対的貧困」の2つに分けられます。
とりわけ“服や食べるもの、住居がない”といった、人間として最低限の生活を送れない「絶対的貧困」は、最も緊急の問題です。
「絶対的貧困」の具体的な指標として、「国際貧困ライン」という世界銀行が定めた『1日2.15米ドル未満で暮らしていること』というのが挙げられます。
2.15米ドルは、日本円に換算すると約340円(2024年6月時点)。
この価格で食べ物、飲み物、電気・ガス・水道、家でかかるお金などを1日分まかなう生活をしなくてはなりません。
世界では「絶対的貧困」の人が約6.5億人もおり、世界人口の12人に1人がこの状態で暮らしています。
【日本の現状は?】
日本では一般的に貧困や飢餓は海外の問題と捉えられがちですが、実際には日本国内でも食事の量や栄養が十分に摂取できず、死には至らなくても健康に影響を及ぼすケースが存在します。
主な原因としては、経済的な困難や生活環境の変化、高齢者の孤立などが挙げられます。
<日本では「相対的貧困」が起こっている>
「相対的貧困」とは、一定の収入水準以下の生活を余儀なくされている状態を指します。
一般的に、“その国の所得の中央値の半分(貧困ライン)を下回っているかどうか”で判断します。
厚生労働省の調査によると2021年の貧困ラインは127万円となっており、日本の相対的貧困率は15.4%に達していると言われています。
日本の相対的貧困の人口としては、約1800万人が貧困ライン以下で生活していることになります。
【相対的貧困がもたらす食への影響】
相対的貧困の食の問題として、以下のことが挙げられます。
●食事の質的な問題
相対的貧困状態にある家庭では、安価な食材や加工食品を選ぶ傾向があります。
その結果、食事の栄養バランスが乱れ、肥満や非感染性疾患(NCDs)のリスクが増加する可能性があります。
●食事の量的な問題
必要な栄養を摂るための食事量を確保することが困難で、結果的に栄養不足に陥る可能性もあります。
【「飢餓」とは?】
飢餓とは十分な食べ物を食べられずに栄養不足になり、健康を保つことができなくなった状態を指します。
現在、世界では約7.4億人が飢餓に苦しんでいます。
これは世界人口の9人に1人の割合で、飢餓に苦しむ人の多くは途上国に住む人々です。
飢餓が最も広がっている地域はアフリカです。
そして、飢餓人口が最も多いのはアジア(特に南アジア)で、約4億人以上もの人が飢餓で苦しんでいます。
【私たちにできることってなんだろう?】
どこか他人事のように考えてしまいがちな「貧困」や「飢餓」ですが、上記でご紹介したようにどちらも日本で起こっています。
では、具代的にはどのような事をすれば、貧困や飢餓を減らせるのでしょうか?
・フードバンクへ食品を寄付する
・食べられるだけの食料を購入する事で、食品ロス削減に協力する
・「子ども食堂」の支援に携わる
・SDGsに取り組んでいる企業のフェアトレード商品を購入し、生産者に公正な利益を分配する
・飢餓問題に取り組んでいるNPOやNGOに寄付をして、国際協力に参加する
日本では、政府や地方自治体が食品ロス削減や給食制度の充実、低所得層への支援策などを通じて、国内の飢餓問題に取り組んでいます。
そのほか、国際的な支援活動にも積極的に参加し、世界的な問題解決に協力しています。
「貧困」と「飢餓」は隣り合わせです。
この2つの問題を私たち日本人も決して他人事だと思わず、「食べる幸せ」を皆で分かち合える世界にするために、私たち1人1人が行動を起こすことが大切です。
皆さんも、できることから始めてみませんか?
Text by ろい/食育インストラクター