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たべて元気♪「食だより」

健康づくり

お酒好きは要注意?プリン体との付き合い方

更新日:2025/08/20

お酒を飲むのは大人ならではの楽しみのひとつ…ですが、健康上で気になる部分が増えるのも事実です。
そんな気になる要素のひとつが、プリン体。お酒を飲む方には注意するべきポイントがあるので、確認してみましょう!

【プリン体は悪いヤツ…の誤解】

プリン体と聞くとセットでイメージされるのが、痛風という疾病です。
プリン体は体内で分解されるときに尿酸という老廃物になります。
尿酸は尿とともに排出されますが、尿酸値が高すぎると排出が追いつかなくなり、体内にたまって結晶化します。
体の中に結晶ができると、それに免疫細胞が反応して炎症を起こすので、激痛を感じますが、そんな痛みに悶え苦しむ経験はしたくないものです。
さらに、尿酸は尿路結石(こちらも発症時に激痛をともなうことの多い疾患です)の発生にも関わっているので、尿酸のもとになるプリン体を制限するべき!と考えてしまうのも無理はありません。
しかし、プリン体は細胞の中にある核酸を構成する成分です。細胞はほとんどの動植物が持っているので、食べ物には必ず含まれています。
また、人間の体内でも生成されています。
そのため、食品に含まれるプリン体そのものを悪いヤツと決めつけてしまうのは誤解なのです。
体を無理に避けようとするより、暴飲暴食を避ける方がずっと疾病リスクを下げることに繋がります。

【アルコールとプリン体】

「ビールはプリン体が多いから焼酎にしている」
お酒好きの方はこんな言葉を聞いたことがあるかもしれません。
確かに、ビールはアルコール飲料の中でもプリン体が多めです。
しかし、ビールよりもプリン体が多い食品はたくさんあるのに、なぜビールが特別に注目されるのでしょう?
実は痛風などのリスクを高めるのはプリン体そのものよりも、アルコールに原因があります。
アルコールを肝臓で分解するときには尿酸が産生されるうえ、アルコール分解のために肝臓が休まず働き続けるので機能が低下しやすくなります。
また、過度のアルコールは腎臓の機能も低下させ、尿酸を排出させる力が弱まります
さらに、アルコールは胃液の分泌を促し、食欲の増進に繋がるので、ついつい食べ過ぎてしまう可能性もあります。
つまり、ビールだけではなく、アルコール飲料は基本的に痛風に対するリスクを高めるものなのです。
プリン体の多いビールを避けたからといって、ほかのアルコール飲料を飲み過ぎていたり、おつまみを食べ過ぎているなら、リスクを高めていることに変わりはありません。
お酒はし好品なので、飲むときに選ぶおつまみは、自分の好きな食べ物をたくさん選んでしまいがち。
しかし、それではエネルギー過多になりやすく、肝臓や腎臓にも負担をかけやすくなります。
揚げ物などの高エネルギー・高脂質なおつまみや、塩味の強いおつまみはなるべく控えた方がよいでしょう。
一方、野菜や芋類・海藻類には尿酸値の上昇を抑制する効果が期待できるので、これらの食品を含むおつまみを積極的に選ぶとよいですね。
ブロッコリーやほうれん草など、プリン体を多く含む野菜はいくつかありますが、これらを食べても尿酸値への影響はほとんど見られないとされるので、安心して召し上がって下さい。(※すでに高尿酸などで医師から食事に関する指導を受けている場合は、そちらにしたがってください)

お酒をたしなむ大人にとって、他人事とはいえない疾患である痛風や結石。
健康に長く楽しくお酒を楽しむためにも、一度に飲む量やおつまみの選び方には気をつけたいですね。

Text by はむこ/食育インストラクター