更新日:2024/02/23
女性の体の悩みのひとつ、更年期障害。日常生活を過ごすのも苦労することがあるので、「自分のときは軽くすんだらいいなあ…」と考えている方も多いのでは?今回は更年期に向けて、食事の面で気をつけたいポイントについてお話します!
更年期障害とは閉経に向けて女性ホルモンの分泌量が変化することで、体調に変化が現れることを指します。年齢とともに現れる体の変化なので、誰にでも起こり得ることのひとつです。女性特有のホルモンの一種であるエストロゲンは卵巣で分泌されていますが、卵巣が単独で行うのではなく、脳の視床下部・そして脳下垂体から指令を受けることで分泌するようになります。この脳からの指令はそれぞれ別のホルモンによって調整されています。体をひとつの会社だと考えると、視床下部から要請を請けた脳下垂体という部門が、卵巣のエストロゲン製造ラインで働く人材を派遣している…というようなイメージが近いでしょう。しかし、加齢とともにエストロゲンの分泌量は少なくなります。すると、視床下部は脳下垂体を通じてエストロゲンをもっと分泌するように指令を出すようになります。でも、人間の体は替えの利かないパーツばかりで、卵巣もそのひとつ。工場で働く人材をどれだけ増やしても、設備が古くなっていては生産量を増やすことができないように、エストロゲンの分泌量が増えることはありません。しかし、エストロゲンの生産を優先している視床下部は、「まだ足りない!」と思って無理な指令を出し続けています。このように、更年期障害とは、達成できない指令を脳が出し続けているために自律神経に悪影響が出ている状態なのです。卵巣側からすると「無茶なノルマばかり言わないで!」と脳に文句を言いたい状況かもしれませんね…。自分の意思で視床下部に指令を止めるように命令できればよいのですが、残念ながらそれはできないので、視床下部が自分で落ち着くのを待つ必要があります。
食べもので治せるものではありませんが、更年期に食事内容を整えておくことは、その後の疾病の予防も含めて大切です。更年期障害は閉経が間近に迫っている期間ともいえる状態なので、閉経後にかかりやすくなる病気も食事も見すえながら、少しずつそれに合わせた内容にシフトしていくのがベターです。まずは、たんぱく質やビタミン・ミネラルをきちんと補給できるバランスのよい食事を目指しましょう。ごはんやパンなどの主食と肉や魚・卵などの主菜・そして野菜をたっぷり食べられる副菜の組み合わせをベースに考えるとよいですね。このときに注意したいポイントのひとつが、更年期以降は基礎代謝が落ち、太りやすくなるということです。糖質や脂質は生きていく上で必要な栄養素ですが、オーバーカロリーになりやすいので、揚げ物や甘いお菓子などを食べる頻度を減らしたり、肉類の部位を脂身の少ないものに替えるなど、自分で管理できるようになるとベストです。ウォーキングなどの簡単に始められる有酸素運動を取り入れるのも有効ですよ。
もうひとつ気をつけたいのが、エストロゲンの減少により起こる問題です。実はエストロゲンは体内のコレステロール値を安定化させる働きや、骨からのカルシウムの流出を抑える働きもしています。更年期に差し掛かってくると、高コレステロール血症や骨粗しょう症などのリスクも高まります。このうち、コレステロールに関しては肥満予防と同じく、バランスのよい食事への見直しと継続できる運動習慣が予防に有効です。骨粗しょう症の予防はカルシウムの摂取量を増やすことが大切です。乳製品・骨ごと食べられる魚や葉物野菜などを積極的に食べたいですね。ちなみに、大豆・大豆製品に含まれるイソフラボンは体内でエストロゲンに似た働きをするため、更年期の不快な症状の緩和に効果が期待できます。また、カルシウムも含まれるので、普段の食事で定期的に召し上がるとよいですね。
更年期障害は個人差が大変多いので、一人で抱え込んでしまいがちです。でも、誰にでも起こりうるとはいえ、いつ終わるかわからない症状と毎日付き合っていくのはつらいものです。日常的に苦しい・つらい・落ち着かないなどと感じるようであれば、我慢せずに婦人科を受診し、体調の相談ができるようにしておくとよいですね。
Text by はむこ/食育インストラクター
女性の体の悩みのひとつ、更年期障害。
日常生活を過ごすのも苦労することがあるので、「自分のときは軽くすんだらいいなあ…」と考えている方も多いのでは?
今回は更年期に向けて、食事の面で気をつけたいポイントについてお話します!
【更年期の基礎知識】
更年期障害とは閉経に向けて女性ホルモンの分泌量が変化することで、体調に変化が現れることを指します。
年齢とともに現れる体の変化なので、誰にでも起こり得ることのひとつです。
女性特有のホルモンの一種であるエストロゲンは卵巣で分泌されていますが、卵巣が単独で行うのではなく、脳の視床下部・そして脳下垂体から指令を受けることで分泌するようになります。
この脳からの指令はそれぞれ別のホルモンによって調整されています。
体をひとつの会社だと考えると、視床下部から要請を請けた脳下垂体という部門が、卵巣のエストロゲン製造ラインで働く人材を派遣している…というようなイメージが近いでしょう。
しかし、加齢とともにエストロゲンの分泌量は少なくなります。
すると、視床下部は脳下垂体を通じてエストロゲンをもっと分泌するように指令を出すようになります。
でも、人間の体は替えの利かないパーツばかりで、卵巣もそのひとつ。
工場で働く人材をどれだけ増やしても、設備が古くなっていては生産量を増やすことができないように、エストロゲンの分泌量が増えることはありません。
しかし、エストロゲンの生産を優先している視床下部は、「まだ足りない!」と思って無理な指令を出し続けています。
このように、更年期障害とは、達成できない指令を脳が出し続けているために自律神経に悪影響が出ている状態なのです。
卵巣側からすると「無茶なノルマばかり言わないで!」と脳に文句を言いたい状況かもしれませんね…。
自分の意思で視床下部に指令を止めるように命令できればよいのですが、残念ながらそれはできないので、視床下部が自分で落ち着くのを待つ必要があります。
【食事と更年期】
食べもので治せるものではありませんが、更年期に食事内容を整えておくことは、その後の疾病の予防も含めて大切です。
更年期障害は閉経が間近に迫っている期間ともいえる状態なので、閉経後にかかりやすくなる病気も食事も見すえながら、少しずつそれに合わせた内容にシフトしていくのがベターです。
まずは、たんぱく質やビタミン・ミネラルをきちんと補給できるバランスのよい食事を目指しましょう。
ごはんやパンなどの主食と肉や魚・卵などの主菜・そして野菜をたっぷり食べられる副菜の組み合わせをベースに考えるとよいですね。
このときに注意したいポイントのひとつが、更年期以降は基礎代謝が落ち、太りやすくなるということです。
糖質や脂質は生きていく上で必要な栄養素ですが、オーバーカロリーになりやすいので、揚げ物や甘いお菓子などを食べる頻度を減らしたり、肉類の部位を脂身の少ないものに替えるなど、自分で管理できるようになるとベストです。
ウォーキングなどの簡単に始められる有酸素運動を取り入れるのも有効ですよ。
もうひとつ気をつけたいのが、エストロゲンの減少により起こる問題です。
実はエストロゲンは体内のコレステロール値を安定化させる働きや、骨からのカルシウムの流出を抑える働きもしています。
更年期に差し掛かってくると、高コレステロール血症や骨粗しょう症などのリスクも高まります。このうち、コレステロールに関しては肥満予防と同じく、バランスのよい食事への見直しと継続できる運動習慣が予防に有効です。
骨粗しょう症の予防はカルシウムの摂取量を増やすことが大切です。
乳製品・骨ごと食べられる魚や葉物野菜などを積極的に食べたいですね。
ちなみに、大豆・大豆製品に含まれるイソフラボンは体内でエストロゲンに似た働きをするため、更年期の不快な症状の緩和に効果が期待できます。
また、カルシウムも含まれるので、普段の食事で定期的に召し上がるとよいですね。
更年期障害は個人差が大変多いので、一人で抱え込んでしまいがちです。
でも、誰にでも起こりうるとはいえ、いつ終わるかわからない症状と毎日付き合っていくのはつらいものです。
日常的に苦しい・つらい・落ち着かないなどと感じるようであれば、我慢せずに婦人科を受診し、体調の相談ができるようにしておくとよいですね。
Text by はむこ/食育インストラクター