更新日:2024/09/25
まだまだ暑い9月。食欲がないときに食べたくなるのがフルーツですね。今が旬の「和梨」はみずみずしく、スッキリとした甘さなので、水分補給としても重宝します。
梨は弥生時代にはすでに食べられていたといわれるほど、古くからある果物です。梨の名は日本書紀にも登場し、江戸時代には盛んに栽培されるようになりました。当時は100品種以上もあったと言われています。現在のような甘みが強く、果肉がやわらかい梨は、明治時代以降に発見されたり、品種改良されたものです。日本での収穫量は千葉県がトップ。次いで茨城県、栃木県で多く栽培されています。
和梨は、熟すと果皮がコルク化して薄茶色になる「赤梨」と、熟しても果皮が黄色の「青梨」に分けられます。さまざまな品種が出回っていますが、今回はよく見かける5種をご紹介します。ぜひ、購入するときの参考にしてください。
■幸水「菊水」と「早生幸蔵」を交配し、1959年(昭和34年)に誕生した赤梨です。親品種からそれぞれ一字とり、その名がつけられました。日本で栽培される和梨の約4割を占め、たっぷりの果汁と強い甘みが特徴です。ほかの梨と比べて収穫時期が早く、7月下旬ころから出回ります。
■豊水「幸水」と「石井早生×二十世紀」の掛け合わせで、1972年(昭和47年)に登録された赤梨です。名前には、「みずみずしい梨になってほしい」という願いが込められており、その名の通り、たっぷりの果汁と甘みと酸味のバランスがよいのが特徴です。8月下旬から9月にかけて店頭に出回ります。
■新高「天の川」と「長十郎」を掛け合わせたと推定されている、1927年(昭和2年)に命名された赤梨です。以前は、新潟県の「天の川」と高知県の「今村秋」の交雑と考えられていたため、それぞれの地名をとって「新高」と名づけられました。大きなものは1㎏以上にもなり、みずみずしい食感と風味豊かな甘さ、酸味が少ないのが特徴です。9月中旬ころから出回る新高は、ほかの梨と比べ日持ちがよく、冷蔵庫で1か月近く保存することが出来ます。
■二十世紀鳥取県のブランド梨としても有名な青梨の代表品種です。1888年(明治21年)に千葉県で発見され、二十世紀を代表する梨になることを期待し、名づけられました。果皮はきれいな黄緑色で、果汁が多く、甘みと酸味のバランスがよいのが特徴です。8月下旬から9月にかけて出回ります。
■あきづき2001年(平成13年)に登録された「新高×豊水」と「幸水」を掛け合わせた赤梨です。収穫期が秋であり、形が月のように見えることから、この名がつけられました。果肉は緻密でやわらかく、豊富な果汁と甘みが強く、酸味が少ないのが特徴です。9月下旬ころから出回ります。
軸が太いもの、全体がふっくらとして果皮にハリがあるもの、持ったときにずっしり重いものを選びましょう。すぐに食べないときは、1個ずつキッチンペーパーで包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。そのときに軸を下にして保存するとおいしさが長持ちします。とはいえ、日が経つにつれどんどんと水分が失われていきますので、なるべく早めに食べるようにしてください。
和梨を買ったものの、食べてみたら甘みが薄かった…。という経験はありませんか?そんなときにおすすめな、コンポートのレシピをご紹介します。
<材料> 調理時間:30分(冷やす時間は除く)
和梨・・1個A水・・100mlA白ワイン・・50mlAグラニュー糖・・50gレモン(輪切り)・・2枚
<作り方>
1.梨は8等分に切り、皮をむいて芯を取り除く。
2.鍋にAを入れて火にかける。グラニュー糖が溶け、ひと煮立ちしたら(1)・レモンを入れ、クッキングシートで作った落しぶたをかぶせ、弱火で15~20分煮る。
3.梨が半透明になり、竹串でスッとさせるくらいまでやわらかくなったら火を止める。粗熱が取れたらジッパー付き保存袋などにシロップごと移し、冷蔵庫で冷やす。
清潔な容器に入れ、しっかりとシロップに浸した状態で冷蔵庫に入れれば、1~2週間は日持ちします。また、冷凍用保存袋などに平らに並べ、冷凍することもできます。半解凍の状態で食べるとシャーベットのような食感で、まだまだ暑い今の時期におすすめです。
梨の約90%は水分ですが、「カリウム」を比較的多く含んでいるので、むくみや高血圧の予防に効果が期待できます。すっきりとした酸味はクエン酸、リンゴ酸などによるもので疲労回復に、甘さのもとであるソルビトール(糖アルコールの一種)は、便秘解消や腸内環境を整える働きがあります。特有のシャリシャリとした食感は、石細胞と呼ばれる不溶性食物繊維の「リグニン」と「ペントザン」によるものです。これらはソルビトールと同様、腸内環境を整えてくれます。さらに、たんぱく質分解酵素の「プロテアーゼ」は、すりおろして肉をつけ込むとやわらかくなるほか、消化を促し、胃腸への負担を和らげます。
今がおいしい梨には、嬉しい効能がいっぱい!梨を食べて、残暑厳しいこの季節を元気に乗り切りましょう。
Text by まち/食育インストラクター
まだまだ暑い9月。
食欲がないときに食べたくなるのがフルーツですね。
今が旬の「和梨」はみずみずしく、スッキリとした甘さなので、水分補給としても重宝します。
【和梨の歴史】
梨は弥生時代にはすでに食べられていたといわれるほど、古くからある果物です。
梨の名は日本書紀にも登場し、江戸時代には盛んに栽培されるようになりました。
当時は100品種以上もあったと言われています。
現在のような甘みが強く、果肉がやわらかい梨は、明治時代以降に発見されたり、品種改良されたものです。
日本での収穫量は千葉県がトップ。次いで茨城県、栃木県で多く栽培されています。
【和梨の種類】
和梨は、熟すと果皮がコルク化して薄茶色になる「赤梨」と、熟しても果皮が黄色の「青梨」に分けられます。
さまざまな品種が出回っていますが、今回はよく見かける5種をご紹介します。
ぜひ、購入するときの参考にしてください。
■幸水
「菊水」と「早生幸蔵」を交配し、1959年(昭和34年)に誕生した赤梨です。
親品種からそれぞれ一字とり、その名がつけられました。
日本で栽培される和梨の約4割を占め、たっぷりの果汁と強い甘みが特徴です。
ほかの梨と比べて収穫時期が早く、7月下旬ころから出回ります。
■豊水
「幸水」と「石井早生×二十世紀」の掛け合わせで、1972年(昭和47年)に登録された赤梨です。
名前には、「みずみずしい梨になってほしい」という願いが込められており、その名の通り、たっぷりの果汁と甘みと酸味のバランスがよいのが特徴です。
8月下旬から9月にかけて店頭に出回ります。
■新高
「天の川」と「長十郎」を掛け合わせたと推定されている、1927年(昭和2年)に命名された赤梨です。
以前は、新潟県の「天の川」と高知県の「今村秋」の交雑と考えられていたため、それぞれの地名をとって「新高」と名づけられました。
大きなものは1㎏以上にもなり、みずみずしい食感と風味豊かな甘さ、酸味が少ないのが特徴です。
9月中旬ころから出回る新高は、ほかの梨と比べ日持ちがよく、冷蔵庫で1か月近く保存することが出来ます。
■二十世紀
鳥取県のブランド梨としても有名な青梨の代表品種です。
1888年(明治21年)に千葉県で発見され、二十世紀を代表する梨になることを期待し、名づけられました。
果皮はきれいな黄緑色で、果汁が多く、甘みと酸味のバランスがよいのが特徴です。
8月下旬から9月にかけて出回ります。
■あきづき
2001年(平成13年)に登録された「新高×豊水」と「幸水」を掛け合わせた赤梨です。
収穫期が秋であり、形が月のように見えることから、この名がつけられました。
果肉は緻密でやわらかく、豊富な果汁と甘みが強く、酸味が少ないのが特徴です。
9月下旬ころから出回ります。
【和梨を選ぶときのポイント】
軸が太いもの、全体がふっくらとして果皮にハリがあるもの、持ったときにずっしり重いものを選びましょう。
すぐに食べないときは、1個ずつキッチンペーパーで包み、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。
そのときに軸を下にして保存するとおいしさが長持ちします。
とはいえ、日が経つにつれどんどんと水分が失われていきますので、なるべく早めに食べるようにしてください。
【和梨のコンポート】
和梨を買ったものの、食べてみたら甘みが薄かった…。という経験はありませんか?
そんなときにおすすめな、コンポートのレシピをご紹介します。
<材料> 調理時間:30分(冷やす時間は除く)
和梨・・1個
A水・・100ml
A白ワイン・・50ml
Aグラニュー糖・・50g
レモン(輪切り)・・2枚
<作り方>
1.梨は8等分に切り、皮をむいて芯を取り除く。
2.鍋にAを入れて火にかける。
グラニュー糖が溶け、ひと煮立ちしたら(1)・レモンを入れ、クッキングシートで作った落しぶたをかぶせ、弱火で15~20分煮る。
3.梨が半透明になり、竹串でスッとさせるくらいまでやわらかくなったら火を止める。
粗熱が取れたらジッパー付き保存袋などにシロップごと移し、冷蔵庫で冷やす。
清潔な容器に入れ、しっかりとシロップに浸した状態で冷蔵庫に入れれば、1~2週間は日持ちします。
また、冷凍用保存袋などに平らに並べ、冷凍することもできます。
半解凍の状態で食べるとシャーベットのような食感で、まだまだ暑い今の時期におすすめです。
【梨の嬉しい効能】
梨の約90%は水分ですが、「カリウム」を比較的多く含んでいるので、むくみや高血圧の予防に効果が期待できます。
すっきりとした酸味はクエン酸、リンゴ酸などによるもので疲労回復に、甘さのもとであるソルビトール(糖アルコールの一種)は、便秘解消や腸内環境を整える働きがあります。
特有のシャリシャリとした食感は、石細胞と呼ばれる不溶性食物繊維の「リグニン」と「ペントザン」によるものです。
これらはソルビトールと同様、腸内環境を整えてくれます。
さらに、たんぱく質分解酵素の「プロテアーゼ」は、すりおろして肉をつけ込むとやわらかくなるほか、消化を促し、胃腸への負担を和らげます。
今がおいしい梨には、嬉しい効能がいっぱい!
梨を食べて、残暑厳しいこの季節を元気に乗り切りましょう。
Text by まち/食育インストラクター