ストレス社会といわれる現代の日本では、緊張感から解放されるリラックスが心身の健康にとても大事なことが知られています。
しかし、リラックスしようと意気込むと余計に緊張してしまい、うまくいかないこともあるのが意外と難しいところです。
今回は食事のもたらすリラックス効果についてのお話です。

【食後のリラックス】

食事は体をリラックスさせる最適な行動のひとつです。
食事をしたあとはなんとなく安心感があったり、気持ちの切り替えができるなど、気分が落ち着くような感覚になったことはありませんか？
食後のタイミングは食べ物を消化するために副交感神経が優位になるので、体を休ませようとする機能が体に備わっています。
そのため、消化器にエネルギーをたくさん回すことができるようになります。
「食事の時間はなるべく毎日同じ時間帯にした方がよい」とされるのも、体内時計が整えられ、緊張感とリラックス感のメリハリがつき、健康的な生活が送れるようになるからです。
普段の食後はもちろん、休憩中に間食を食べることで気分転換ができるなど、食べることをうまく利用すると、ストレス過多な現代の生活にうまく対応できる手助けになるかもしれません。
なお、リラックスできるからといって、仕事や勉強中にだらだらと「ながら食べ」をすると、効率を落とす結果になりかねません。
適度な緊張感は集中の維持に関わるので、しっかりメリハリをつけることが大切ですよ！

【リラックスに効率のよい食べ物とは？】

食事をしてゆっくり休むことはリラックス効果がある。
それなら、食事の内容に気をつければ、より休息効果が高くなるのでは？
コストパフォーマンス・タイムパフォーマンスといった言葉がよく聞かれるようになった現代では、休息にも効率の良し悪しが求められています。
確かに、やみくもに食事をするだけではなく、その内容を見直すことで、リラックス効果につながる栄養素を摂ることができます。
注目するべき栄養素は、トリプトファンです。
精神を安定させるセロトニンというホルモンの材料となるアミノ酸ですが、体内で作り出すことができない必須アミノ酸でもあるため、食事から摂る必要があります。
トリプトファンは乳製品や大豆製品（豆腐・納豆など）・カツオやマグロなどの赤身魚・ナッツ類やバナナなどの食品に多く含まれています。
さまざまな食品に含まれているので、バランスのとれた食事をきちんと食べていれば、極端に不足することはありません。
一方で、普段の食事の栄養バランスに偏りがある場合は、間食はバナナにする・おかずの一品を豆腐料理に変える・牛乳や豆乳を朝食に一杯飲む…など、手軽に取り入れられる方法を試してみるとよいでしょう。
そのほか、カカオポリフェノールはストレス軽減に役立つため、カカオの含有量の高いチョコレートをおやつにするなども、リラックス効果を高めるかもしれません。
しかし、効率にばかり気を取られてしまうと、食事の内容の良し悪しが気になって十分にリラックスできなかったり、食べ過ぎてリラックスどころではない、といった事態になりかねないので、あくまでも豆知識として覚えておく程度にとどめておいてください。

食事は栄養補給だけではなく、リラックス効果を生み、ストレスを和らげる効果もある、私たちの日常生活を支える根幹です。
毎日の食事の時間はなるべく規則正しくなるように意識し、バランスのよい食事を心がけ、生活の充実に役立てましょう！

Text by はむこ/食育インストラクター