更新日:2022/10/24
りんごは、紀元前2000年には食べられていたと言われるほど、古くからある果物です。世界で1万以上の品種があり、色や形、味もさまざまで、そのままはもちろん、料理やお菓子と幅広く愛されています。今回は、今がおいしい「りんご」についてのお話です。
紀元前6000年ころにはすでにあったとされるりんごは、紀元前1300年に栽培が始まったと言われています。日本には平安時代に中国から「和りんご」が伝わりましたが、広くは根づいていきませんでした。その後、明治時代にアメリカから紅玉や国光などの欧米系品種を持ち帰ったことから日本でも本格的な栽培がはじまりました。冷涼な気候を好むことから東日本でほとんどが栽培され、青森県・長野県で全体の3/4量を占めています。一般的な旬は、9月から1月ですが、技術の進歩により、1年中手に入るようになりました。
季節を問わず、りんごが比較的安価で出回るようになったのは、「CA貯蔵法」という技術によるものです。CA貯蔵法とは、収穫後に空気中の酸素・二酸化炭素・窒素といった成分をコントロールし、低温で保管し鮮度を保つ方法です。りんごは、収穫後も私たちと同じように空気中の酸素を利用し、呼吸をしています。そのときに水分が発散され、エネルギーを消費してしまうことから、味や鮮度が落ちてしまうのです。CA貯蔵で呼吸を抑制し、深い休眠状態に陥ることで鮮度を長く保つことができ、通年おいしいりんごが食べられるようになりました。
日本でもさまざまな品種が栽培、販売されています。今回は比較的手に入りやすい代表的な6つのりんごをご紹介します。
■ふじ国光とデリシャスを交配させてできた品種で、鮮やかな赤色をした果皮と果汁が多いのが特徴です。1962年に品種登録され、今では世界で最も多く生産されています。1年中手に入りますが、11月ころに旬を迎えます。
■つがるゴールデンデリシャスと紅玉を交配させ、青森県で誕生した品種で、「ふじ」に次いで多く生産されています。酸味が弱く、シャキシャキとした食感とジューシーな果肉が魅力です。ほかのりんごと比べて早く収穫される早生種で、9月ころから出回ります。
■王林ゴールデンデリシャスと印度を交配させてできた、青りんごの代表格。黄緑色の果皮で、酸味は弱く、甘みが強いのが特徴です。特有の香りをもち、果肉はややかためでシャクっとした食感です。10月中旬ごろから出回ります。
■ジョナゴールドゴールデンデリシャスと紅玉を交配させてできた品種です。つがるも同じかけ合わせですが、こちらはアメリカで誕生したものです。ほかのりんごと比べてひと回り大きく、ほどよい酸味と強い甘みが特徴です。10月ころから出回ります。
■シナノゴールドゴールデンデリシャスと千秋(せんしゅう)を交配させてできた品種で、黄色の果皮が特徴です。果汁が多くシャキシャキとした食感をもち、甘味と酸味のバランスがよい味わいが魅力です。10月ころから出回ります。
■紅玉1800年ころにアメリカで発見された品種で、「ジョナサン」とも呼ばれています。ほかのりんごと比べて小ぶりで、濃い赤色の果皮が特徴です。特有の酸味を持ち、煮崩れしにくいのでアップルパイなどのお菓子にもよく使われています。10月ころから出回ります。
秋になり、りんごが多く出回ると「ふじ」と「サンふじ」が一緒に並んでいることがあります。「同じふじのようだけれど、何だか見た目が違う…。」と気になった方はいませんか?実は、この2つは栽培方法が異なるのです。
ふじは、りんごに袋をかけて育てる「有袋栽培」で作られています。6~7月ころ、果実が小さいうちに1つずつ袋をかけ、秋に袋をとって太陽にあてて育てます。こうすることで病気や害虫からりんごが守られ、貯蔵性や色づきがよくなります。サンふじは、袋をかけずに育てる「無袋栽培」で作られています。太陽の光をたっぷり浴びて育てられたりんごは甘みが増します。ただ、貯蔵性が低いため、あまり日持ちはしません。
ふじ以外にも、「サン○○」とつくりんごがありますので、見つけたら味比べをしてみるのも楽しいですね。
ヨーロッパでは、「1日1個のりんごを食べると医者を遠ざける」とも言われているりんご。では、どのような栄養素が含まれているのでしょう。りんごには、食物繊維やカリウムが多く含まれています。食物繊維は、腸内の善玉菌を増やして腸の働きを整えたり、血糖値の上昇やコレステロールの吸収を抑制する作用があり、便秘改善や糖尿病予防などに効果があります。カリウムは体内の余分なナトリウムを排出し、高血圧予防やむくみの改善に役立ちます。そのほか、リンゴ酸・クエン酸などの有機酸やりんごポリフェノールも含まれ、血流の改善や疲労回復、老化予防など、さまざまな効果が期待できます。特に皮の近くに多くの栄養があるので、より効果を期待したいのであれば、皮ごと食べるのがおすすめです。
そのまま食べても、加熱してもおいしいりんご。技術の進歩で1年中食べられるようになりましたが、この時期にしか出回らない品種もあります。自分好みのりんごを見つけ、食事やデザートとして楽しむのもよいですね。
Text byまち/食育インストラクター
りんごは、紀元前2000年には食べられていたと言われるほど、古くからある果物です。
世界で1万以上の品種があり、色や形、味もさまざまで、そのままはもちろん、料理やお菓子と幅広く愛されています。
今回は、今がおいしい「りんご」についてのお話です。
【古い歴史を持つ果物「りんご」】
紀元前6000年ころにはすでにあったとされるりんごは、紀元前1300年に栽培が始まったと言われています。
日本には平安時代に中国から「和りんご」が伝わりましたが、広くは根づいていきませんでした。
その後、明治時代にアメリカから紅玉や国光などの欧米系品種を持ち帰ったことから日本でも本格的な栽培がはじまりました。
冷涼な気候を好むことから東日本でほとんどが栽培され、青森県・長野県で全体の3/4量を占めています。
一般的な旬は、9月から1月ですが、技術の進歩により、1年中手に入るようになりました。
【なぜ、1年中手に入るようになったの?】
季節を問わず、りんごが比較的安価で出回るようになったのは、「CA貯蔵法」という技術によるものです。
CA貯蔵法とは、収穫後に空気中の酸素・二酸化炭素・窒素といった成分をコントロールし、低温で保管し鮮度を保つ方法です。
りんごは、収穫後も私たちと同じように空気中の酸素を利用し、呼吸をしています。
そのときに水分が発散され、エネルギーを消費してしまうことから、味や鮮度が落ちてしまうのです。
CA貯蔵で呼吸を抑制し、深い休眠状態に陥ることで鮮度を長く保つことができ、通年おいしいりんごが食べられるようになりました。
【りんごの代表的な品種】
日本でもさまざまな品種が栽培、販売されています。
今回は比較的手に入りやすい代表的な6つのりんごをご紹介します。
■ふじ
国光とデリシャスを交配させてできた品種で、鮮やかな赤色をした果皮と果汁が多いのが特徴です。
1962年に品種登録され、今では世界で最も多く生産されています。
1年中手に入りますが、11月ころに旬を迎えます。
■つがる
ゴールデンデリシャスと紅玉を交配させ、青森県で誕生した品種で、「ふじ」に次いで多く生産されています。
酸味が弱く、シャキシャキとした食感とジューシーな果肉が魅力です。
ほかのりんごと比べて早く収穫される早生種で、9月ころから出回ります。
■王林
ゴールデンデリシャスと印度を交配させてできた、青りんごの代表格。
黄緑色の果皮で、酸味は弱く、甘みが強いのが特徴です。
特有の香りをもち、果肉はややかためでシャクっとした食感です。
10月中旬ごろから出回ります。
■ジョナゴールド
ゴールデンデリシャスと紅玉を交配させてできた品種です。
つがるも同じかけ合わせですが、こちらはアメリカで誕生したものです。
ほかのりんごと比べてひと回り大きく、ほどよい酸味と強い甘みが特徴です。
10月ころから出回ります。
■シナノゴールド
ゴールデンデリシャスと千秋(せんしゅう)を交配させてできた品種で、黄色の果皮が特徴です。
果汁が多くシャキシャキとした食感をもち、甘味と酸味のバランスがよい味わいが魅力です。
10月ころから出回ります。
■紅玉
1800年ころにアメリカで発見された品種で、「ジョナサン」とも呼ばれています。
ほかのりんごと比べて小ぶりで、濃い赤色の果皮が特徴です。
特有の酸味を持ち、煮崩れしにくいのでアップルパイなどのお菓子にもよく使われています。
10月ころから出回ります。
【「ふじ」と「サンふじ」の違いとは?】
秋になり、りんごが多く出回ると「ふじ」と「サンふじ」が一緒に並んでいることがあります。
「同じふじのようだけれど、何だか見た目が違う…。」と気になった方はいませんか?
実は、この2つは栽培方法が異なるのです。
ふじは、りんごに袋をかけて育てる「有袋栽培」で作られています。
6~7月ころ、果実が小さいうちに1つずつ袋をかけ、秋に袋をとって太陽にあてて育てます。
こうすることで病気や害虫からりんごが守られ、貯蔵性や色づきがよくなります。
サンふじは、袋をかけずに育てる「無袋栽培」で作られています。
太陽の光をたっぷり浴びて育てられたりんごは甘みが増します。
ただ、貯蔵性が低いため、あまり日持ちはしません。
ふじ以外にも、「サン○○」とつくりんごがありますので、見つけたら味比べをしてみるのも楽しいですね。
【りんごを食べれば医者いらず!?】
ヨーロッパでは、「1日1個のりんごを食べると医者を遠ざける」とも言われているりんご。
では、どのような栄養素が含まれているのでしょう。
りんごには、食物繊維やカリウムが多く含まれています。
食物繊維は、腸内の善玉菌を増やして腸の働きを整えたり、血糖値の上昇やコレステロールの吸収を抑制する作用があり、便秘改善や糖尿病予防などに効果があります。
カリウムは体内の余分なナトリウムを排出し、高血圧予防やむくみの改善に役立ちます。
そのほか、リンゴ酸・クエン酸などの有機酸やりんごポリフェノールも含まれ、血流の改善や疲労回復、老化予防など、さまざまな効果が期待できます。
特に皮の近くに多くの栄養があるので、より効果を期待したいのであれば、皮ごと食べるのがおすすめです。
そのまま食べても、加熱してもおいしいりんご。
技術の進歩で1年中食べられるようになりましたが、この時期にしか出回らない品種もあります。
自分好みのりんごを見つけ、食事やデザートとして楽しむのもよいですね。
Text byまち/食育インストラクター