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たべて元気♪「食だより」

パパ・ママ

乳児と味覚

更新日:2025/01/15

味を感じることを「味覚」といいますが、いったいいつから感じることが出来ているのでしょうか。
今回は、乳児と味覚についてのお話です。

【味覚とは】

味覚は、人が外からの刺激を感じることが出来る五感(視覚・嗅覚・触覚・味覚・聴覚)のうちのひとつで、嗅覚とともに食材や料理の味・香りなどを感じ、「おいしさ」や「食べても問題ない食材(料理)」なのかどうかを判断するのにとても大切です。
味は口の中で感じていると思うかもしれませんが、食べ物の味を判別する細胞や味覚神経を通って脳に情報が伝えられ、識別しています。
この流れは口に食べ物が入って味を感じると同時に行われるため、ほとんどタイムラグの無い状態で味を感知します。

【味蕾と味】

私たちの口の中は、舌や頬の内側・上あごなどに味を感じる「味蕾(みらい)」があります。味蕾は、花の蕾(つぼみ)のような形をしている細胞で、乳児期には1万個ほどあるとされ、年齢が進むにつれて徐々に減少し、大人になる頃には7500個ほどになっていきます。
味蕾が感知出来る味は「甘味」・「塩味」・「うま味」・「酸味」・「苦味」の5つで、「五味」や「基本味」と呼ばれています。
この五味が複雑に混ざり合うことで、おいしさとなります。
また普段の食事で、「辛味」や「えぐ味」・「渋味」を感じると思いますが、これらは熱さや冷たさ同様、三叉神経を通じて伝わる「刺激」に分類されるので、味覚ではありません。

【五味の役割】

安全な食材を食べる前から選ぶことが出来るようになってきた現代において、本来の意味合いは重要ではないのかもしれませんが、五味(甘味・塩味・うま味・酸味・苦味)は私たち人類が進化の過程で生き残るために発達したものです。
甘味は体を動かすのに重要なエネルギー源である糖質、塩味は体に必要なミネラル、うま味は体を作る為に大切なたんぱく質を識別する味です。
この3つは、体に有益なものに多く含まれる味なので好む人が多いですが、酸味は自然界では腐敗、苦味は毒物を連想させる味なので、苦手と感じる人も多いでしょう。
特に乳幼児のような小さな子どもは、味に対する経験値が少ないので、酸味や苦みに対して敏感です。
逆に大人は、味に対する経験値は増えますが、味蕾の数が減少して子どものときよりも味に対して感度が鈍くなるため、酸味や苦味も好ましく感じられるようになっていくのです。

【乳児の味覚】

私たちの味覚はいつから機能しているか知っていますか。
母親のお腹から生まれ出て、母乳や育児用ミルクを飲むようになってから?
それとも、離乳食を開始するタイミングなのでしょうか。
実は、私たちの味覚は、母親のお腹の中にいるときにはすでに機能し始めているのです。
妊娠3~4カ月のころには味を感じる器官の形成が始まり、生まれるまでに羊水を通して母親が食べた食材に入っている味を断片的に経験しているといわれています。
味覚は離乳食前の母乳や育児用ミルクを飲んでいる時期から感じていますが、しっかり活用出来るようになるのは離乳食が始まるころです。

【味覚の発達】

生後5~6カ月くらいから始まる離乳食は、母乳や育児用ミルク以外のものから栄養を摂る練習の初期段階です。
味覚だけでなく五感をフルに使って温かさや舌触り、見た目やにおいを感じ取っていきます。
味覚の発達は、3~4歳ころがピークで、そのあと10~12歳ころまでに食べた味の記憶が、その子の味覚の基礎になっていきます。
乳児期からたくさんの味に触れさせてあげることはとても大切です。
酸味や苦味を無理に食べさせる必要はありませんが、その先の味覚形成に役立つので、継続的にときどき食卓に並べていきましょう。

【味付けはうま味を効かせて薄めに】

濃い味付けは、すなわち塩分の高い料理を食べるということです。
塩分は体に必要なミネラルですが、摂り過ぎは体内のバランスを崩し、さまざまな病気の要因となります。
濃い味に慣れてしまうと薄味に戻すのは難しいので、小さいうちから病気のリスクにさらされる可能性が高まります。
私たちは薄味に対して「水っぽい味」という印象を持っていることが多いですが、五味のひとつであるうま味を効かせて料理を作ると、水っぽい味を回避することが出来ます。
うま味はかつお節や昆布・干し椎茸のような出汁の取れる食材や、トマトなどの野菜類・チーズなどの発酵食品にもたくさん含まれます。
うま味にはいくつかの種類があるので、組み合わせることで相乗効果が起こり、料理の味を何倍にもおいしく感じさせます。

おいしさを感じるのは味覚があるおかげです。
味覚は、たくさん感じることで成長していきますので、ぜひ離乳食期のころからさまざまな食材に触れさせてあげましょう。

Text by さゆり/食育インストラクター