更新日:2022/11/14
11月15日は「昆布の日」。新昆布の出回る時期であることや育ち盛りのお子さんが栄養たっぷりな昆布を食べて元気に過ごしてほしいという願いから、七五三に合わせ、この日を昆布の日と制定しました。今回は、和食に欠かせない「昆布」の種類やおいしい活用法などについてのお話です。
昆布は、室町時代に北海道から日本海を通って北陸の敦賀・小浜に運ばれたり、陸路と琵琶湖の水運を利用して京都へ運ばれていました。この時代に、精進料理が発達していた京都を中心とする近畿地方はもちろんのこと、船が寄港する日本海沿岸の港町に昆布の習慣が根づきました。海上交通が盛んになった江戸時代になると、船は関門海峡・瀬戸内海を経由して、商業の中心地である大阪まで運ばれるようになります。その後、昆布は江戸・九州・沖縄・中国(清)へと運ばれ、そこで出汁としてだけでなく、独特の昆布食文化が生まれました。関東地方は昆布が運ばれてくるのが遅かったため、全国的にみても昆布の消費量が少ない地域となっています。
出汁がきいている料理をおいしいと感じるのは、「うま味」の働きによります。うま味は、「甘味」・「酸味」・「塩味」・「苦味」に続く5つめの基本味で、料理のおいしさを生む大切な役割を果たしています。このうま味成分は、昆布やチーズ、野菜などに多い「グルタミン酸」、かつお節や煮干しなどの魚や肉に多い「イノシン酸」、干ししいたけに多い「グアニル酸」の3つに分かれます。これらがうま味であることを発見したのは何と日本人!トマトやチーズ、肉などに共通するおいしさは一体何なのか疑問を抱いたことにより、一人の博士が研究を始めました。そして、昆布出汁のきいた湯豆腐を食べているとき、そのおいしさが昆布に含まれているのではないかと気づき、グルタミン酸を取り出すことに成功しました。それをうま味と名づけ、その後「イノシン酸」、「グアニル酸」も日本人が発見しました。
昆布は、宮城県以北の太平洋岸と北海道全域に分布している褐藻類コンブ科コンブ属に含まれる海草の総称で、約90%が北海道で生産されています。いろいろな種類が売られており、どれを買ったらよいか悩んでしまう…。ということはありませんか?今回は、よく見かける4つの昆布をご紹介します。
■真昆布北海道南部や三陸地方が主な産地の昆布で、上品な風味でクセのない出汁がとれます。肉厚なので、おぼろ昆布やとろろ昆布などの加工品にも利用されています。
■羅臼(らうす)昆布知床半島沿岸で獲れる昆布です。香りがよく、うま味と甘みが強いコクのある出汁がとれます。
■利尻(りしり)昆布北海道の利尻島や礼文(れぶん)島周辺を含む道北から、道東の網走にかけてが、主な産地です。香りがよく、透き通ったクセのない上品な出汁がとれます。
■日高昆布北海道の日高地方で獲れる昆布で「三石昆布」とも呼ばれています。やわらかく火の通りが早いので、昆布巻きや佃煮などにもよく利用されます。
①昆布の汚れをかたくしぼった濡れ布巾などで拭き取る(水でサッと洗ってもOK)※昆布の表面の白い粉は「マンニット」と呼ばれるうま味成分です。拭き取らないようにしましょう。
②鍋に水・昆布を入れてそのまま30分程度おく※時間があるときは、昆布を水につけた状態でひと晩おくと、より昆布のうま味が引き出されます。※水に対し、昆布の量は1%が目安。水1Lに昆布10g程度を入れてください。
③鍋を中火弱にかける
④鍋のまわりに細かい泡が沸々してきたら昆布を取り出す。※昆布は高温で煮出し過ぎると、くさみやぬめりが出てしまうので、注意してください。
昆布には食物繊維やミネラルが多く含まれています。そのなかでも今回注目したいのは、女性にうれしい「食物繊維」です。昆布などのぬめりは、水溶性食物繊維の一種「アルギン酸」や「フコイダン」という成分によるものです。これらは、高血圧やコレステロール値を下げる効果や、がん予防の効果が期待できます。さらに、糖質の吸収をゆるやかにしたり、腸内環境を整える働きをするので便秘の予防、改善にも役立ちます。ただ、出汁として料理に使うときは、ぬめりが出ないように出汁をとるので、これらの成分が十分に摂れているとはいえません。そこで、出汁をとったあとの昆布も上手に料理し、おいしくいただきましょう。
<材料> 調理時間:20分出汁をとったあとの昆布・・50gA砂糖・・小さじ1Aみりん・・小さじ1Aしょうゆ・・小さじ1A酢・・小さじ1/2塩・・小さじ1/4砂糖・・小さじ1/4
<作り方>1.昆布は4~5cm長さの千切りにする。
2.小さめのフライパンに①・Aを入れて汁気が無くなるまで中火弱で炒める。
3.耐熱皿にクッキングシートを敷き、②を広げて入れる。600Wの電子レンジで1分加熱し、取り出してよく混ぜ、平らに広げる。この作業をあと2~3回繰り返し、表面を乾燥させる。※焦げやすいので気をつけてください
4.ビニール袋に塩・砂糖を入れ、③を入れてよく振る。調味料が全体に行き渡ったら清潔な保存容器に移し、冷蔵庫で保存する。
出汁として活用するのはもちろん、煮物や炒め物、漬物など、昆布を上手に料理にとり入れ、毎日を健康に過ごしましょう。
Text byまち/食育インストラクター
11月15日は「昆布の日」。
新昆布の出回る時期であることや育ち盛りのお子さんが栄養たっぷりな昆布を食べて元気に過ごしてほしいという願いから、七五三に合わせ、この日を昆布の日と制定しました。
今回は、和食に欠かせない「昆布」の種類やおいしい活用法などについてのお話です。
【昆布のルーツ】
昆布は、室町時代に北海道から日本海を通って北陸の敦賀・小浜に運ばれたり、陸路と琵琶湖の水運を利用して京都へ運ばれていました。
この時代に、精進料理が発達していた京都を中心とする近畿地方はもちろんのこと、船が寄港する日本海沿岸の港町に昆布の習慣が根づきました。
海上交通が盛んになった江戸時代になると、船は関門海峡・瀬戸内海を経由して、商業の中心地である大阪まで運ばれるようになります。
その後、昆布は江戸・九州・沖縄・中国(清)へと運ばれ、そこで出汁としてだけでなく、独特の昆布食文化が生まれました。
関東地方は昆布が運ばれてくるのが遅かったため、全国的にみても昆布の消費量が少ない地域となっています。
【昆布から日本人が発見!「うま味」】
出汁がきいている料理をおいしいと感じるのは、「うま味」の働きによります。
うま味は、「甘味」・「酸味」・「塩味」・「苦味」に続く5つめの基本味で、料理のおいしさを生む大切な役割を果たしています。
このうま味成分は、昆布やチーズ、野菜などに多い「グルタミン酸」、かつお節や煮干しなどの魚や肉に多い「イノシン酸」、干ししいたけに多い「グアニル酸」の3つに分かれます。
これらがうま味であることを発見したのは何と日本人!
トマトやチーズ、肉などに共通するおいしさは一体何なのか疑問を抱いたことにより、一人の博士が研究を始めました。
そして、昆布出汁のきいた湯豆腐を食べているとき、そのおいしさが昆布に含まれているのではないかと気づき、グルタミン酸を取り出すことに成功しました。
それをうま味と名づけ、その後「イノシン酸」、「グアニル酸」も日本人が発見しました。
【昆布の種類】
昆布は、宮城県以北の太平洋岸と北海道全域に分布している褐藻類コンブ科コンブ属に含まれる海草の総称で、約90%が北海道で生産されています。
いろいろな種類が売られており、どれを買ったらよいか悩んでしまう…。ということはありませんか?
今回は、よく見かける4つの昆布をご紹介します。
■真昆布
北海道南部や三陸地方が主な産地の昆布で、上品な風味でクセのない出汁がとれます。
肉厚なので、おぼろ昆布やとろろ昆布などの加工品にも利用されています。
■羅臼(らうす)昆布
知床半島沿岸で獲れる昆布です。
香りがよく、うま味と甘みが強いコクのある出汁がとれます。
■利尻(りしり)昆布
北海道の利尻島や礼文(れぶん)島周辺を含む道北から、道東の網走にかけてが、主な産地です。
香りがよく、透き通ったクセのない上品な出汁がとれます。
■日高昆布
北海道の日高地方で獲れる昆布で「三石昆布」とも呼ばれています。
やわらかく火の通りが早いので、昆布巻きや佃煮などにもよく利用されます。
【昆布出汁のとり方】
①昆布の汚れをかたくしぼった濡れ布巾などで拭き取る(水でサッと洗ってもOK)
※昆布の表面の白い粉は「マンニット」と呼ばれるうま味成分です。拭き取らないようにしましょう。
②鍋に水・昆布を入れてそのまま30分程度おく
※時間があるときは、昆布を水につけた状態でひと晩おくと、より昆布のうま味が引き出されます。
※水に対し、昆布の量は1%が目安。水1Lに昆布10g程度を入れてください。
③鍋を中火弱にかける
④鍋のまわりに細かい泡が沸々してきたら昆布を取り出す。
※昆布は高温で煮出し過ぎると、くさみやぬめりが出てしまうので、注意してください。
【昆布のうれしい成分とは】
昆布には食物繊維やミネラルが多く含まれています。
そのなかでも今回注目したいのは、女性にうれしい「食物繊維」です。
昆布などのぬめりは、水溶性食物繊維の一種「アルギン酸」や「フコイダン」という成分によるものです。
これらは、高血圧やコレステロール値を下げる効果や、がん予防の効果が期待できます。
さらに、糖質の吸収をゆるやかにしたり、腸内環境を整える働きをするので便秘の予防、改善にも役立ちます。
ただ、出汁として料理に使うときは、ぬめりが出ないように出汁をとるので、これらの成分が十分に摂れているとはいえません。
そこで、出汁をとったあとの昆布も上手に料理し、おいしくいただきましょう。
【出汁をとったあとの昆布も活用、自家製「塩昆布」を作ってみよう!】
<材料> 調理時間:20分
出汁をとったあとの昆布・・50g
A砂糖・・小さじ1
Aみりん・・小さじ1
Aしょうゆ・・小さじ1
A酢・・小さじ1/2
塩・・小さじ1/4
砂糖・・小さじ1/4
<作り方>
1.昆布は4~5cm長さの千切りにする。
2.小さめのフライパンに①・Aを入れて汁気が無くなるまで中火弱で炒める。
3.耐熱皿にクッキングシートを敷き、②を広げて入れる。
600Wの電子レンジで1分加熱し、取り出してよく混ぜ、平らに広げる。
この作業をあと2~3回繰り返し、表面を乾燥させる。
※焦げやすいので気をつけてください
4.ビニール袋に塩・砂糖を入れ、③を入れてよく振る。
調味料が全体に行き渡ったら清潔な保存容器に移し、冷蔵庫で保存する。
出汁として活用するのはもちろん、煮物や炒め物、漬物など、昆布を上手に料理にとり入れ、毎日を健康に過ごしましょう。
Text byまち/食育インストラクター