更新日:2023/01/06
栄養素の基本についてゆる~くお伝えするシリーズ、今回のテーマは肥満の原因(?)脂肪についてです。
体を動かし、機能を維持するにはエネルギーが必要です。脂質はエネルギーのもとになる栄養素のひとつで、炭水化物(糖質)・たんぱく質と併せて三大栄養素と呼ばれています。この三大栄養素のなかで、脂質は体内で素早く消化・吸収される炭水化物とは逆にゆっくり消化・吸収されるので、血糖値が急上昇しにくいメリットがあります。その一方で、すぐにたくさんのエネルギーを必要とする運動時の栄養補給には不向きです。また、消化器の動く時間が長くなるので、過剰に摂ると消化不良の原因になります。いわゆる「消化に悪い食べ物」に脂質の多い食品が含まれているのは、このためです。
また、脂質は一番多くエネルギーを生み出す栄養素で、1gあたりのエネルギーが約9kcalと、炭水化物やたんぱく質の4kcalの倍以上あります。しかも、食べ過ぎて余ってしまった脂質ばかりか、炭水化物やたんぱく質も脂肪として体に蓄えられるので、お腹のまわりのプヨプヨの原因になってしまいます。だからといって、脂質はエネルギーになる以外にも、ホルモンの分泌などに関わっているため、単純に無くせばよいというものではありません。それに、人間の体についた脂肪は内臓を衝撃から守ったり、体温を維持するなど生命活動に関わる重要な機能も担っています。極端にカットするのではなく、炭水化物・たんぱく質とバランスよく食べることが第一なのですね。ちなみに、脂質から摂るエネルギーは、一食の総エネルギーに対し、20~30%が適切だとされます。例えば600kcalの食事を摂ったとするなら、そのうち脂質は120~180kcalほど。食用油なら13~20g分と思うと、意外と多く感じるかもしれませんが、これは揚げ物や脂身の多い肉や魚・加工食品などを少し多く食べるだけであっという間にオーバーしてしまう値です。(例・唐揚げ中一個あたりで8gほどの脂質があります)脂質は大切ですが、明らかにお腹まわりが増えてきたという場合は、摂りすぎていないか、普段食べているものと量を書きだしてチェックしてみるとよいですね。
脂質は量も重要ですが、何から摂るのか?も考えておきたい栄養素です。まず、脂質は大きく分けて二種類、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されます。飽和脂肪酸は主に肉類や乳製品などの動物性脂肪に含まれ、不飽和脂肪酸は植物や魚類から摂る脂質に多いと考えてよいでしょう。この中で、不飽和脂肪酸のα-リノレン酸・リノール酸は、人間の体では合成できず、食べ物から摂るほかないため、必須脂肪酸と呼ばれています(※リノール酸からつくられるアラキドン酸も必須脂肪酸に数えることがあります)。これらの不飽和脂肪酸はLDLコレステロール(悪玉コレステロールとも)を減らし、動脈硬化の予防に働くなど、生活習慣病対策に役立ちます。
一方で、飽和脂肪酸は摂り過ぎるとLDLコレステロールを増加させ、動脈硬化などのリスクを高めることで知られています。日本では年々魚の消費量が減り、肉や乳製品の消費量が増えているので、脂質を原因とする循環器系疾患の増加が指摘されています。どんな油脂を摂るかは自分で自由に選択できるものなので、自分の健康のためにも、脂肪の摂り方には注意したいですね。これらのことから、健康を重視するなら主菜は魚(特に青魚)を多めにした方がよく、なたね油やオリーブオイル・大豆油などの植物性油脂を摂るとよりよいでしょう。
好きなものが食べられるようになった現代において、脂質とうまく付き合うことは10年、20年後の健康に影響する要素のひとつです。炭水化物・たんぱく質とのバランスや、どんな食品から脂質を摂るのか、健康のためにもぜひ確認してみてくださいませ☆
Text byはむこ/食育インストラクター
栄養素の基本についてゆる~くお伝えするシリーズ、今回のテーマは肥満の原因(?)脂肪についてです。
【大きなエネルギー源(※摂りすぎ注意)】
体を動かし、機能を維持するにはエネルギーが必要です。
脂質はエネルギーのもとになる栄養素のひとつで、炭水化物(糖質)・たんぱく質と併せて三大栄養素と呼ばれています。
この三大栄養素のなかで、脂質は体内で素早く消化・吸収される炭水化物とは逆にゆっくり消化・吸収されるので、血糖値が急上昇しにくいメリットがあります。
その一方で、すぐにたくさんのエネルギーを必要とする運動時の栄養補給には不向きです。
また、消化器の動く時間が長くなるので、過剰に摂ると消化不良の原因になります。
いわゆる「消化に悪い食べ物」に脂質の多い食品が含まれているのは、このためです。
また、脂質は一番多くエネルギーを生み出す栄養素で、1gあたりのエネルギーが約9kcalと、炭水化物やたんぱく質の4kcalの倍以上あります。
しかも、食べ過ぎて余ってしまった脂質ばかりか、炭水化物やたんぱく質も脂肪として体に蓄えられるので、お腹のまわりのプヨプヨの原因になってしまいます。
だからといって、脂質はエネルギーになる以外にも、ホルモンの分泌などに関わっているため、単純に無くせばよいというものではありません。
それに、人間の体についた脂肪は内臓を衝撃から守ったり、体温を維持するなど生命活動に関わる重要な機能も担っています。
極端にカットするのではなく、炭水化物・たんぱく質とバランスよく食べることが第一なのですね。
ちなみに、脂質から摂るエネルギーは、一食の総エネルギーに対し、20~30%が適切だとされます。
例えば600kcalの食事を摂ったとするなら、そのうち脂質は120~180kcalほど。
食用油なら13~20g分と思うと、意外と多く感じるかもしれませんが、これは揚げ物や脂身の多い肉や魚・加工食品などを少し多く食べるだけであっという間にオーバーしてしまう値です。(例・唐揚げ中一個あたりで8gほどの脂質があります)
脂質は大切ですが、明らかにお腹まわりが増えてきたという場合は、摂りすぎていないか、普段食べているものと量を書きだしてチェックしてみるとよいですね。
【体によい脂質とは?】
脂質は量も重要ですが、何から摂るのか?も考えておきたい栄養素です。
まず、脂質は大きく分けて二種類、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されます。
飽和脂肪酸は主に肉類や乳製品などの動物性脂肪に含まれ、不飽和脂肪酸は植物や魚類から摂る脂質に多いと考えてよいでしょう。
この中で、不飽和脂肪酸のα-リノレン酸・リノール酸は、人間の体では合成できず、食べ物から摂るほかないため、必須脂肪酸と呼ばれています(※リノール酸からつくられるアラキドン酸も必須脂肪酸に数えることがあります)。
これらの不飽和脂肪酸はLDLコレステロール(悪玉コレステロールとも)を減らし、動脈硬化の予防に働くなど、生活習慣病対策に役立ちます。
一方で、飽和脂肪酸は摂り過ぎるとLDLコレステロールを増加させ、動脈硬化などのリスクを高めることで知られています。
日本では年々魚の消費量が減り、肉や乳製品の消費量が増えているので、脂質を原因とする循環器系疾患の増加が指摘されています。
どんな油脂を摂るかは自分で自由に選択できるものなので、自分の健康のためにも、脂肪の摂り方には注意したいですね。
これらのことから、健康を重視するなら主菜は魚(特に青魚)を多めにした方がよく、なたね油やオリーブオイル・大豆油などの植物性油脂を摂るとよりよいでしょう。
好きなものが食べられるようになった現代において、脂質とうまく付き合うことは10年、20年後の健康に影響する要素のひとつです。
炭水化物・たんぱく質とのバランスや、どんな食品から脂質を摂るのか、健康のためにもぜひ確認してみてくださいませ☆
Text byはむこ/食育インストラクター