更新日:2022/06/13
だんご、まんじゅう、どら焼き…。いろいろな種類の和菓子がありますよね?和菓子はおやつとして食べるだけでなく、行事にも欠かせないもので、私たちの生活に深くかかわっています。
嘉祥(かじょう)の日とは、6月16日に菓子を食べて厄除招福を願う行事のことです。嘉祥の由来は諸説ありますが、平安時代の仁明天皇が6月16日に16にちなんだ菓子・餅などを神前に供えて疫を逃れ、健康を祈って「嘉祥」と改元したということにちなんだ説が有力です。室町時代の武家では、納涼のために楊弓(ようきゅう)を行い、負けたものが勝者へ嘉定通宝(中国の宋で作られた銭)16枚で食べ物を買って送ったとされています。嘉定通宝の嘉(か)と通(つう)が勝(かつ)に通じることから武家に受け入れられ、江戸時代になるとますます盛んになって行きました。
6月16日のこの日、大名・旗本は江戸城へ総登城します。行事としては大名や旗本が将軍から菓子を賜るという簡単なものでしたが、その規模はとても大きく、約500畳の江戸城大広間に2万個以上の菓子が並べられました。並べられた菓子の種類は、「寄水(よりみず)」、「金飩(きんとん)」、「熨斗操(のしくり)」、「平麩」、「羊羹」、「大饅頭」、「鶉焼(うずらやき)」、「阿古屋(あこや)」でこれらを将軍からいただきます。江戸城で菓子を賜ったあと、大名は屋敷に戻り、自らの家臣へも菓子を分け与えて嘉祥を祝い、それが遠く国元まで広がります。この儀礼を通して菓子、そして贈答文化が全国に広まって行きました。
嘉祥は宮中でも行われており、天皇が公家などに一升六合の米を与え、公家はそれを虎屋と二口屋という2つの菓子屋で菓子に換えていました。嘉祥に関する古文書が虎屋に多く残されていることからも、この行事の大きさを知ることが出来ます。この行事は庶民の中でも行われており、銭十六文で菓子や餅を買って食べる「嘉祥喰」というしきたりのほか、6月16日の夜に16歳の袖止め(振り袖をやめて詰め袖にする)をする「嘉祥縫」という風習もあったようです。この嘉祥の祝いは明治時代まで続いていましたが、その後次第に忘れられて行きました。そこで和菓子のすばらしさを楽しみ、後世にまで伝えようと全国和菓子協会が昭和54年に6月16日を「和菓子の日」と制定しました。
■正月…鏡餅と花びら餅古くから食べられ、神聖なものとしても扱われてきた餅は、お祝いに欠かせません。一年の始まりである正月に鏡餅を飾って年神様をお迎えし、それをみんなで食べることで、そこに宿った力を分けていただくとともに、1年の幸せや健康を願います。花びら餅は、丸く伸ばした餅に白みそのあんと、甘く煮たごぼうを包んだ、新年を祝う和菓子です。平安時代の正月行事「歯固めの儀」が簡略されたものが起源になっています。
■上巳の節句(桃の節句)…菱餅と草餅ピンク、白、緑の餅を重ねた菱餅は、上巳の節句に欠かせないものです。色にも理由があり、ピンクは「魔除け」、白は「清浄」、緑は「健康」の意味を持ちます。草餅は、よもぎの葉を加えてついた餅で、「よもぎもち」とも呼ばれています。よもぎなどの草の香りが邪気を払うと信じられ、草餅を食べていた古代中国の習慣が伝わり、日本では3月3日、上巳の節句に食べられるようになりました。
■端午の節句・・・柏餅とちまき柏餅は上新粉で作った餅であんをくるみ、柏の葉で包んだものです。柏の木の葉は、新芽が育つまで古い葉が落ちないことから、「家系(跡継ぎ)が途絶えない」、さらには「子孫繁栄」と結びつき、縁起物とされてきました。ちまきは甘味をつけた餅を笹の葉で円すい形に包み、蒸し上げたものです。ちまきを食べる風習は中国の故事に由来し、子どもの健やかな健康と厄除けの願いが込められています。
■十五夜…月見だんご十五夜に欠かせないのが月見だんごです。月のようにだんごが丸いのは、月は欠けても満ちることから生や不死の象徴と考えられ、それを食べることで、健康と幸せが得られるとされていたからです。昔は、1年の満月の数に合わせて12個、うるう年は1つ増やして13個にするのがしきたりでした。しかし、現在は十三夜に13個、十五夜に15個供えるのが一般的になっています。
小豆は「古事記」の五穀のひとつとして登場するほど、食用としての歴史が古い穀物です。古くは、赤い色が魔除け効果をもつと伝えられていました。この赤い色はポリフェノールによるもので、赤ワインの約2倍とも言われるほど豊富に含まれています。ポリフェノールは強い抗酸化作用があり、生活習慣病予防に役立つだけでなく、新陳代謝をアップさせ、冷えの改善や美白・美肌などが期待できます。このほかに、腸の動きを活発にし、便秘解消に効果がある「食物繊維」や血液の流れをよくしたり、体脂肪の蓄積を抑制する「サポニン」、体内の余分な塩分を排出し、むくみの予防・改善に効果のある「カリウム」など、女性に嬉しい効果が期待できる栄養素がいっぱいです。
和菓子はおいしいだけでなく、日本の四季や行事を感じられるものです。和菓子と一緒に行事や習慣を覚えるのもよいですね。
だんご、まんじゅう、どら焼き…。いろいろな種類の和菓子がありますよね?
和菓子はおやつとして食べるだけでなく、行事にも欠かせないもので、私たちの生活に深くかかわっています。
【和菓子が主役の日!嘉祥(嘉定)とは?】
嘉祥(かじょう)の日とは、6月16日に菓子を食べて厄除招福を願う行事のことです。
嘉祥の由来は諸説ありますが、平安時代の仁明天皇が6月16日に16にちなんだ菓子・餅などを神前に供えて疫を逃れ、健康を祈って「嘉祥」と改元したということにちなんだ説が有力です。室町時代の武家では、納涼のために楊弓(ようきゅう)を行い、負けたものが勝者へ嘉定通宝(中国の宋で作られた銭)16枚で食べ物を買って送ったとされています。嘉定通宝の嘉(か)と通(つう)が勝(かつ)に通じることから武家に受け入れられ、江戸時代になるとますます盛んになって行きました。
【江戸時代の嘉祥】
6月16日のこの日、大名・旗本は江戸城へ総登城します。行事としては大名や旗本が将軍から菓子を賜るという簡単なものでしたが、その規模はとても大きく、約500畳の江戸城大広間に2万個以上の菓子が並べられました。並べられた菓子の種類は、「寄水(よりみず)」、「金飩(きんとん)」、「熨斗操(のしくり)」、「平麩」、「羊羹」、「大饅頭」、「鶉焼(うずらやき)」、「阿古屋(あこや)」でこれらを将軍からいただきます。江戸城で菓子を賜ったあと、大名は屋敷に戻り、自らの家臣へも菓子を分け与えて嘉祥を祝い、それが遠く国元まで広がります。この儀礼を通して菓子、そして贈答文化が全国に広まって行きました。
【「宮中」と「庶民」の嘉祥】
嘉祥は宮中でも行われており、天皇が公家などに一升六合の米を与え、公家はそれを虎屋と二口屋という2つの菓子屋で菓子に換えていました。嘉祥に関する古文書が虎屋に多く残されていることからも、この行事の大きさを知ることが出来ます。この行事は庶民の中でも行われており、銭十六文で菓子や餅を買って食べる「嘉祥喰」というしきたりのほか、6月16日の夜に16歳の袖止め(振り袖をやめて詰め袖にする)をする「嘉祥縫」という風習もあったようです。この嘉祥の祝いは明治時代まで続いていましたが、その後次第に忘れられて行きました。そこで和菓子のすばらしさを楽しみ、後世にまで伝えようと全国和菓子協会が昭和54年に6月16日を「和菓子の日」と制定しました。
【季節の行事と和菓子】
■正月…鏡餅と花びら餅
古くから食べられ、神聖なものとしても扱われてきた餅は、お祝いに欠かせません。一年の始まりである正月に鏡餅を飾って年神様をお迎えし、それをみんなで食べることで、そこに宿った力を分けていただくとともに、1年の幸せや健康を願います。
花びら餅は、丸く伸ばした餅に白みそのあんと、甘く煮たごぼうを包んだ、新年を祝う和菓子です。平安時代の正月行事「歯固めの儀」が簡略されたものが起源になっています。
■上巳の節句(桃の節句)…菱餅と草餅
ピンク、白、緑の餅を重ねた菱餅は、上巳の節句に欠かせないものです。色にも理由があり、ピンクは「魔除け」、白は「清浄」、緑は「健康」の意味を持ちます。草餅は、よもぎの葉を加えてついた餅で、「よもぎもち」とも呼ばれています。よもぎなどの草の香りが邪気を払うと信じられ、草餅を食べていた古代中国の習慣が伝わり、日本では3月3日、上巳の節句に食べられるようになりました。
■端午の節句・・・柏餅とちまき
柏餅は上新粉で作った餅であんをくるみ、柏の葉で包んだものです。柏の木の葉は、新芽が育つまで古い葉が落ちないことから、「家系(跡継ぎ)が途絶えない」、さらには「子孫繁栄」と結びつき、縁起物とされてきました。ちまきは甘味をつけた餅を笹の葉で円すい形に包み、蒸し上げたものです。ちまきを食べる風習は中国の故事に由来し、子どもの健やかな健康と厄除けの願いが込められています。
■十五夜…月見だんご
十五夜に欠かせないのが月見だんごです。月のようにだんごが丸いのは、月は欠けても満ちることから生や不死の象徴と考えられ、それを食べることで、健康と幸せが得られるとされていたからです。昔は、1年の満月の数に合わせて12個、うるう年は1つ増やして13個にするのがしきたりでした。しかし、現在は十三夜に13個、十五夜に15個供えるのが一般的になっています。
【和菓子に欠かせない「あんこ」の材料、小豆は栄養がいっぱい!】
小豆は「古事記」の五穀のひとつとして登場するほど、食用としての歴史が古い穀物です。古くは、赤い色が魔除け効果をもつと伝えられていました。この赤い色はポリフェノールによるもので、赤ワインの約2倍とも言われるほど豊富に含まれています。ポリフェノールは強い抗酸化作用があり、生活習慣病予防に役立つだけでなく、新陳代謝をアップさせ、冷えの改善や美白・美肌などが期待できます。このほかに、腸の動きを活発にし、便秘解消に効果がある「食物繊維」や血液の流れをよくしたり、体脂肪の蓄積を抑制する「サポニン」、体内の余分な塩分を排出し、むくみの予防・改善に効果のある「カリウム」など、女性に嬉しい効果が期待できる栄養素がいっぱいです。
和菓子はおいしいだけでなく、日本の四季や行事を感じられるものです。和菓子と一緒に行事や習慣を覚えるのもよいですね。