更新日:2024/05/27
初夏になると出回るオレンジ色の果実、「びわ」。甘酸っぱくてみずみずしく、手でかんたんに皮がむけることも魅力です。今回は今がおいしいびわのお話です。
びわは古くから日本に自生していた果物ですが、在来種は小ぶりで種が大きく、あまりおいしくなかったことから、当時は普及しなかったようです。現在栽培されているものは在来種ではなく、江戸時代後期ごろに中国から伝えられた品種がもとになっています。寒い気候で育ちにくいびわは、長崎県で最も多く栽培され、続いて千葉県、鹿児島県、香川県、兵庫県で作られています。おいしい季節は5~6月ごろの初夏ですが、今ではハウス栽培も盛んになり、早いものだと2月ごろから出回っています。
■茂木江戸時代に中国の商船から持ち込まれた唐びわの種子を、長崎県の代官屋敷で奉公していた女性が茂木の実家にまいたものから生まれました。現在、日本で最も多く栽培されている品種です。ほかの品種に比べ、やや小ぶりですが、甘くて果汁が多く、酸味がひかえめなのが特徴です。3月~6月ごろまで出回ります。
■長崎早生「茂木」と「本田早生」を交配させた早生の代表的な品種です。長崎県で誕生し、1976年に品種登録されました。寒さに弱いため、ハウス栽培されることが多く、ほかの品種より1~2カ月早く店頭に出回ります。茂木より少し大きくて甘みが強いのが特徴です。
■田中植物学者である田中博士が長崎県から持ち帰った種を、東京の自宅にまいて育成したのがはじまりと言われています。比較的寒さに強く、千葉県など「茂木」の生産が安定しなかった地域で定着しました。一般的なびわの2倍近くもある大粒な果実、甘みと酸味のバランスがよい味が特徴です。愛媛県や千葉県で多く栽培され、6月ごろに多く出回ります。
■大房寒さに強いため、びわ産地の北限と言われる千葉県の富浦町で多く栽培されています。大粒で果肉はややかたく、ほどよい甘みと酸味が特徴です。5~6月ごろに出回ります。
■なつたより「長崎早生」と「福原早生」の交配によって誕生し、2009年に品種登録された比較的新しい品種です。大粒で果肉ややわらかく、甘味が強いのが特徴です。収穫時期が短く、5月中旬~下旬にかけて多く出回ります。
このほかにもいろいろな品種のびわが生産され、今では種のないびわも誕生しています。
全体的にハリがあり、オレンジ色の濃いもの、ずっしりと重みがあり、左右対称のふっくらとした丸みのものを選びましょう。果皮に細かい産毛や白い粉(ブルーム)がついているものは、鮮度がよい証拠です。びわは追熟しない果物なので、店頭に並んでいるものが食べごろの状態。食べたいときに購入し、その日のうちに食べきるのがベストです。低温に弱い果物で、冷やし過ぎると風味が落ちてしまいます。食べる2~3時間前に冷蔵庫に入れて冷やしてください。びわは皮をむいて放っておくとすぐに変色してしまいます。皮をむいたらすぐに食べるのがよいですが、難しい場合には、塩水やレモン水にくぐらせると変色を防ぐことができます。
びわは、「β-カロテン」や「β-クリプトキサンチン」が豊富です。これらは体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜の健康を維持します。また、強い抗酸化作用により、高血圧やがんの予防にも効果が期待できます。そのほか、余分なナトリウムを排出し、むくみの解消や高血圧予防に働く「カリウム」や老化やがん予防に役立つポリフェノールの一種「クロロゲン酸」が含まれています。クロロゲン酸は皮や種のまわりに多く、脂肪の蓄積を抑える働きもあります。さらに、古くから果実だけでなく葉も利用され、お茶をはじめ、生薬として漢方に配合したり、化粧水などに用いられています。びわの葉は、咳止めや鼻づまり、むくみ改善、あせもやかぶれなどの皮膚疾患などに有効とされています。
びわに多く含まれる、β-カロテンやβ-クリプトキサンチンは脂溶性なので、油脂と組み合わせると吸収率が高まります。そのまま食べることの多いびわですが、食べきらなかったり、ちょっと傷んでいるものは、ドレッシングにするのがおすすめです。皮と種を除いたびわとお好みのビネガー、オイルを入れてなめらかになるまでミキサーにかけ、塩、こしょうで味を調えたら完成です。どんな食材とも相性がよいので、お好みの具材にかけてください。
暑い日には凍らせたびわを牛乳やヨーグルトなどと合わせ、スムージーにするのもいいですね。嬉しい効果がたっぷりのびわを食べ、ジメジメとした梅雨を元気に乗り切りましょう。
Text by まち/食育インストラクター
初夏になると出回るオレンジ色の果実、「びわ」。
甘酸っぱくてみずみずしく、手でかんたんに皮がむけることも魅力です。
今回は今がおいしいびわのお話です。
【びわの産地と旬】
びわは古くから日本に自生していた果物ですが、在来種は小ぶりで種が大きく、あまりおいしくなかったことから、当時は普及しなかったようです。
現在栽培されているものは在来種ではなく、江戸時代後期ごろに中国から伝えられた品種がもとになっています。
寒い気候で育ちにくいびわは、長崎県で最も多く栽培され、続いて千葉県、鹿児島県、香川県、兵庫県で作られています。
おいしい季節は5~6月ごろの初夏ですが、今ではハウス栽培も盛んになり、早いものだと2月ごろから出回っています。
【「びわ」の代表的な品種】
■茂木
江戸時代に中国の商船から持ち込まれた唐びわの種子を、長崎県の代官屋敷で奉公していた女性が茂木の実家にまいたものから生まれました。
現在、日本で最も多く栽培されている品種です。
ほかの品種に比べ、やや小ぶりですが、甘くて果汁が多く、酸味がひかえめなのが特徴です。
3月~6月ごろまで出回ります。
■長崎早生
「茂木」と「本田早生」を交配させた早生の代表的な品種です。
長崎県で誕生し、1976年に品種登録されました。
寒さに弱いため、ハウス栽培されることが多く、ほかの品種より1~2カ月早く店頭に出回ります。
茂木より少し大きくて甘みが強いのが特徴です。
■田中
植物学者である田中博士が長崎県から持ち帰った種を、東京の自宅にまいて育成したのがはじまりと言われています。
比較的寒さに強く、千葉県など「茂木」の生産が安定しなかった地域で定着しました。
一般的なびわの2倍近くもある大粒な果実、甘みと酸味のバランスがよい味が特徴です。
愛媛県や千葉県で多く栽培され、6月ごろに多く出回ります。
■大房
寒さに強いため、びわ産地の北限と言われる千葉県の富浦町で多く栽培されています。
大粒で果肉はややかたく、ほどよい甘みと酸味が特徴です。
5~6月ごろに出回ります。
■なつたより
「長崎早生」と「福原早生」の交配によって誕生し、2009年に品種登録された比較的新しい品種です。
大粒で果肉ややわらかく、甘味が強いのが特徴です。
収穫時期が短く、5月中旬~下旬にかけて多く出回ります。
このほかにもいろいろな品種のびわが生産され、今では種のないびわも誕生しています。
【おいしいびわの選び方と保存方法】
全体的にハリがあり、オレンジ色の濃いもの、ずっしりと重みがあり、左右対称のふっくらとした丸みのものを選びましょう。
果皮に細かい産毛や白い粉(ブルーム)がついているものは、鮮度がよい証拠です。
びわは追熟しない果物なので、店頭に並んでいるものが食べごろの状態。
食べたいときに購入し、その日のうちに食べきるのがベストです。
低温に弱い果物で、冷やし過ぎると風味が落ちてしまいます。
食べる2~3時間前に冷蔵庫に入れて冷やしてください。
びわは皮をむいて放っておくとすぐに変色してしまいます。
皮をむいたらすぐに食べるのがよいですが、難しい場合には、塩水やレモン水にくぐらせると変色を防ぐことができます。
【びわの嬉しい効能】
びわは、「β-カロテン」や「β-クリプトキサンチン」が豊富です。
これらは体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜の健康を維持します。
また、強い抗酸化作用により、高血圧やがんの予防にも効果が期待できます。
そのほか、余分なナトリウムを排出し、むくみの解消や高血圧予防に働く「カリウム」や老化やがん予防に役立つポリフェノールの一種「クロロゲン酸」が含まれています。
クロロゲン酸は皮や種のまわりに多く、脂肪の蓄積を抑える働きもあります。
さらに、古くから果実だけでなく葉も利用され、お茶をはじめ、生薬として漢方に配合したり、化粧水などに用いられています。
びわの葉は、咳止めや鼻づまり、むくみ改善、あせもやかぶれなどの皮膚疾患などに有効とされています。
【びわの栄養効果をアップさせるには?】
びわに多く含まれる、β-カロテンやβ-クリプトキサンチンは脂溶性なので、油脂と組み合わせると吸収率が高まります。
そのまま食べることの多いびわですが、食べきらなかったり、ちょっと傷んでいるものは、ドレッシングにするのがおすすめです。
皮と種を除いたびわとお好みのビネガー、オイルを入れてなめらかになるまでミキサーにかけ、塩、こしょうで味を調えたら完成です。
どんな食材とも相性がよいので、お好みの具材にかけてください。
暑い日には凍らせたびわを牛乳やヨーグルトなどと合わせ、スムージーにするのもいいですね。
嬉しい効果がたっぷりのびわを食べ、ジメジメとした梅雨を元気に乗り切りましょう。
Text by まち/食育インストラクター