image
image
image
image

たべて元気♪「食だより」

食材・料理

きらきらと輝く、甘酸っぱい果実「さくらんぼ」

更新日:2024/06/05

コロンとした可愛らしいフォルムのさくらんぼは、パリッとはじける果皮と甘酸っぱさが魅力です。
今回は今がおいしい初夏の果実、「さくらんぼ」のお話です。

【さくらんぼの歴史】

さくらんぼは、紀元前300年ごろにはすでに栽培されていたと言われているほど、古くからある果物です。
日本には江戸初期に中国から入ってきましたが、気候に合わず普及しませんでした。
その後、明治初期にアメリカやフランスなどの品種が導入され、北海道や山形県などで定着し、日本でもさまざまな品種改良が進められるようになりました。
名前の由来は、もともと桜の実を指す「桜ん坊」からきたと言われています。
正式名は「桜桃(おうとう)」ですが、現在では「さくらんぼ」が一般的になっています。
甘味の強い「セイヨウミザクラ(スイートチェリー)」、酸味の強い「スミノミザクラ(サワーチェリー)」、「シナノミザクラ(中国桜桃)」の3系統に大きく分かれます。
このうち、日本で作られているのは、ほとんどがセイヨウザクラ系の品種です。

【代表するさくらんぼの品種】

さくらんぼの種類は世界で1000種を超え、日本には100種程度あると言われています。
スーパーなどでよくみかける品種をいくつかご紹介します。

●佐藤錦
日本を代表するさくらんぼの品種で、生産量もトップを誇ります。
大正時代に山形県の佐藤栄助氏によって育成されました。
鮮やかなルビー色で、上品な甘みとほどよい酸味が特徴です。

●紅秀峰
山形県が育成し、1991年に品種登録されたさくらんぼです。
ほかに比べて大粒で、甘みが強く、酸味が弱いのが特徴です。
ほかの品種よりも比較的日持ちがよく、店頭でよく見かける品種のひとつです。

●高砂
アメリカ生まれの品種で、もともとは「ロックポートピガロー」という名前です。
明治に入ってから日本に導入され、カタカナの名前から高砂に統一されました。
甘味と酸味、香りが強く、果汁がたっぷりなのが特徴です。

●ナポレオン
18世紀はじめにはヨーロッパですでに栽培されていた品種で、今では欧米や日本でも一般的になりました。
濃厚な味わいで、酸味と香りがよいのが特徴です。

●アメリカンチェリー(ビング)
一般的にアメリカから輸入されているさくらんぼのことを、アメリカンチェリーと呼んでいます。
アメリカンチェリーにも種類がありますが、日本へ輸入されている約9割はオレゴン州で誕生した「ビング」という品種です。
「ダークチェリー」とも呼ばれ、酸味が少なく、甘みが強いのが特徴です。
また、果肉がかたいので加工にむいています。

【おいしい「さくらんぼ」の見分け方】

さくらんぼは追熟しないので、収穫したそのときからどんどん風味が落ちてしまいます
食べたいときに購入し、その日のうちに食べきるのがベストです。
果皮の色が鮮やかでハリとツヤがあるもの、傷や黒ずみがないものを選びましょう。
軸が枯れておらず、緑色のものが鮮度のよい証拠です。
温度が低すぎると甘みが落ちてしまいます。
風通しのよい場所で保存し、食べる1~2時間前に冷蔵庫に入れて冷やしてください。
食べきれなかった場合には、しっかりと水気をふき取り、密閉容器に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。
それでも2~3日のうちに食べきるようにしてください。

【さくらんぼの嬉しい効能】

さくらんぼには、量は少ないものの、カリウムや鉄などのミネラル、ビタミン類などがバランスよく含まれています。
なかでも、造血作用や胎児の健康的な生育に欠かせない「葉酸」が多く含まれています。
鮮やかな赤色は、ポリフェノールの1種である「アントシアニン」によるもので、目の健康維持や老化予防に役立ちます。
さらに、虫歯予防などで知られている天然の甘味料「ソルビトール」も含まれ、便秘の予防・改善や大腸がんの予防に期待できます。

【6月にはさくらんぼの日が2つある!?】

6月にはさくらんぼの一大産地である山形県が制定した「さくらんぼの日」が2回あります。
1つは、1990年に山形県寒河江(さがえ)市が定めたものです。寒河江市のさくらんぼの最盛期にあたる、6月の第3日曜日を記念日としました。
もう1つは、2013年に全国農業協同組合会山形県が定めたものです。こちらは6が2つ並んだ形がさくらんぼに似ていることから、6月6日を記念日としました。
どちらも山形県のさくらんぼを全国に知ってもらうことを目的に制定されました。

さくらんぼの出回る時期は、4~7月ころと限られています。
ぜひ、今しか味わえない旬の味覚を楽しんでください。

Text by まち/食育インストラクター