更新日:2024/11/13
今から約8000年前に誕生したと言われるほど、古くから世界中で愛されている「ワイン」。フランスやイタリアなどが生産地として有名ですが、日本でも独自のワインが造られるなど、より身近なものになってきています。
国産のぶどうを100%使用し、日本で製造された「日本ワイン」も増えてきています。ワインが日本に持ち込まれたのは、1549年。宣教師フランシスコ・サビエルが武将島津貴久に洗礼のために飲むワインを献上したと「日本協会史」に記されています。その後、戦国時代末期には、ポルトガルのワインが戦国武将たちに嗜好品として楽しまれるようになりました。ワインが本格的に日本で造られるようになったのは明治時代。フランスでワイン造りを学んだ山梨県の2人の青年がワイン会社を設立したことがはじまりです。今では山梨県のほか、長野県、北海道、山形県などで多くワインが造られています。
ワインとは、ぶどうの果実をアルコール発酵させた「醸造酒」の一種です。ぶどうの種類や製造工程の違いによって、いくつかの種類に分類されます。
<スティルワイン>二酸化炭素(炭酸ガス)による発泡性がないワインのことで、アルコール度数は9~15%程度。赤ワイン、白ワイン、ロゼワインがこれに分類されます。
■赤ワイン黒ぶどうの実を果皮や種ごとつぶしてアルコール発酵させた、赤い色味をもつワイン。
■白ワイン白ぶどうの果皮や種を取り除き、しぼった果汁のみを発酵させた、琥珀色や無色に近いワイン。
■ロゼワイン主発酵の途中で果皮と種を取り除き、果汁のみを発酵させたワイン。
<スパークリングワイン>醸造の途中で二酸化炭素を溶け込ませたワイン。フランスでは「ヴァン・ムスー」と呼ばれ、シャンパーニュ地方で造られる「シャンパーニュ(シャンパン)」もこの一種。イタリアでは「スプマンテ」、スペインは「カヴァ」など、国によって呼び名が異なります。
<フォーティーファイドワイン>醸造の過程でアルコール分を添加し、アルコール度数を15~22%まで高めたワインで「酒精強化ワイン」とも呼ばれています。スペインの「シェリー」、ポルトガルの「ポートワイン」、ポルトガル・マデイラ島の「マデイラ」は「三大酒精強化ワイン」として知られています。
<フレーバードワイン>スティルワインに香草や香辛料、果実などを加え、独特の風味に仕上げたもの。ワインに果実や香辛料を加えた「サングリア」や白ワインに香草や香辛料を加えた「ベルモット」が有名です。
ワインの味わいは温度によって変わります。皆さんはおいしい温度をご存知ですか?タイプごとの適切な温度を参考に、自分好みのおいしい味を探してみてください。
■甘口の白ワイン(約4~6℃)温度を下げることで甘みが抑えられ、さっぱりとした味わいに。ただし、冷やし過ぎるとワインの風味が感じにくくなってしまいます。
■辛口の白ワイン(約7~10℃)甘口より少し高めの温度にすると複雑みが増し、風味豊かな味わいに。酸味が強いものは低めの温度にすると飲みやすくなります。
■スパークリングワイン(約5~12℃)冷やすほど泡が抜けにくくなるので、しっかり冷やして飲むのがおすすめ。シャンパーニュのような複雑な味わいを持つワインは少し高めの温度の方が風味は強くなり、おいしく感じられます。
■ロゼワイン(約7~14℃)甘口は冷やすことで味が引き締まり、すっきりとした味わいに。辛口は少し高い温度にするとふくよかな味が引き出されます。
■ライトボディ(軽口)の赤ワイン(約12~15℃)渋みが少なく、フルーティーな味わいの赤ワインは、少し冷やすと口あたりがよく、引き締まった味わいに。
■フルボディ(重口)の赤ワイン(約16~20℃)渋みがしっかりとした赤ワインは、冷やし過ぎると渋みが強調され、ワイン本来の味が楽しめなくなります。温度が高いほど渋みがまろやかに感じられるので、常温に近い方がよいとされています。
ボトルのワインはなかなか1日では飲みきらないことも。ここでは残ってしまったワインをおいしく保存する方法をご紹介します。開封したワインの大敵は「酸化」。空気に触れると酸化が進み、風味を損ねてしまうので、保存するときは抜いたコルク栓をしっかりはめましょう。そのときにラップを巻いてからはめると密閉性が増します。しっかりと密閉したら、冷蔵庫で保存しましょう。そのときは縦置きにするのがベスト。酸素に触れる面を極力減らすことで、急激な劣化を防ぐことができます。それでもどんどんと風味は変わっていきます。開封したものは1週間を目安に飲み切るようにしてください。
11月になるとニュースなどでもよく「ボジョレーヌーボー」という言葉を聞きますよね。ヌーボーは「新しい」を意味し、その名の通り、フランス・ボジョレー地区でその年に収穫したガメイ種のぶどうだけを使って造られる新酒のことです。もともとは無事にぶどうが収穫できたことを皆でお祝いし、毎年収穫されたぶどうの品質をはかるための試飲用ワインだったようです。地元住民中心に親しまれていましたが、それが注目されるようになると、ワインの販売者がいち早く出荷しようと競いはじめました。その結果、質の悪いワインも出回るようになり、ボジョレーの評判を落としかねないほどに。そこでフランス政府が、ワインの品質を下げないために解禁日を定めました。11月の第3木曜日の午前0時に解禁され、時差の関係で日本は世界で一番早く、ボジョレーヌーボーが飲めるということで、毎年話題になっています。
ワインと料理を組み合わせることで、それぞれの味が最大限に引き出され、よりおいしく、食事を楽しむことができます。世界各地のワインが売られているので、ぜひ自分好みの味を見つけてみてはいかがでしょうか。
Text by まち/食育インストラクター
今から約8000年前に誕生したと言われるほど、古くから世界中で愛されている「ワイン」。
フランスやイタリアなどが生産地として有名ですが、日本でも独自のワインが造られるなど、より身近なものになってきています。
【「日本ワイン」の歴史】
国産のぶどうを100%使用し、日本で製造された「日本ワイン」も増えてきています。
ワインが日本に持ち込まれたのは、1549年。
宣教師フランシスコ・サビエルが武将島津貴久に洗礼のために飲むワインを献上したと「日本協会史」に記されています。
その後、戦国時代末期には、ポルトガルのワインが戦国武将たちに嗜好品として楽しまれるようになりました。
ワインが本格的に日本で造られるようになったのは明治時代。
フランスでワイン造りを学んだ山梨県の2人の青年がワイン会社を設立したことがはじまりです。
今では山梨県のほか、長野県、北海道、山形県などで多くワインが造られています。
【「ワイン」の種類】
ワインとは、ぶどうの果実をアルコール発酵させた「醸造酒」の一種です。
ぶどうの種類や製造工程の違いによって、いくつかの種類に分類されます。
<スティルワイン>
二酸化炭素(炭酸ガス)による発泡性がないワインのことで、アルコール度数は9~15%程度。
赤ワイン、白ワイン、ロゼワインがこれに分類されます。
■赤ワイン
黒ぶどうの実を果皮や種ごとつぶしてアルコール発酵させた、赤い色味をもつワイン。
■白ワイン
白ぶどうの果皮や種を取り除き、しぼった果汁のみを発酵させた、琥珀色や無色に近いワイン。
■ロゼワイン
主発酵の途中で果皮と種を取り除き、果汁のみを発酵させたワイン。
<スパークリングワイン>
醸造の途中で二酸化炭素を溶け込ませたワイン。
フランスでは「ヴァン・ムスー」と呼ばれ、シャンパーニュ地方で造られる「シャンパーニュ(シャンパン)」もこの一種。
イタリアでは「スプマンテ」、スペインは「カヴァ」など、国によって呼び名が異なります。
<フォーティーファイドワイン>
醸造の過程でアルコール分を添加し、アルコール度数を15~22%まで高めたワインで「酒精強化ワイン」とも呼ばれています。
スペインの「シェリー」、ポルトガルの「ポートワイン」、ポルトガル・マデイラ島の「マデイラ」は「三大酒精強化ワイン」として知られています。
<フレーバードワイン>
スティルワインに香草や香辛料、果実などを加え、独特の風味に仕上げたもの。
ワインに果実や香辛料を加えた「サングリア」や白ワインに香草や香辛料を加えた「ベルモット」が有名です。
【ワインをおいしく飲むために】
ワインの味わいは温度によって変わります。
皆さんはおいしい温度をご存知ですか?
タイプごとの適切な温度を参考に、自分好みのおいしい味を探してみてください。
■甘口の白ワイン(約4~6℃)
温度を下げることで甘みが抑えられ、さっぱりとした味わいに。
ただし、冷やし過ぎるとワインの風味が感じにくくなってしまいます。
■辛口の白ワイン(約7~10℃)
甘口より少し高めの温度にすると複雑みが増し、風味豊かな味わいに。
酸味が強いものは低めの温度にすると飲みやすくなります。
■スパークリングワイン(約5~12℃)
冷やすほど泡が抜けにくくなるので、しっかり冷やして飲むのがおすすめ。
シャンパーニュのような複雑な味わいを持つワインは少し高めの温度の方が風味は強くなり、おいしく感じられます。
■ロゼワイン(約7~14℃)
甘口は冷やすことで味が引き締まり、すっきりとした味わいに。
辛口は少し高い温度にするとふくよかな味が引き出されます。
■ライトボディ(軽口)の赤ワイン(約12~15℃)
渋みが少なく、フルーティーな味わいの赤ワインは、少し冷やすと口あたりがよく、引き締まった味わいに。
■フルボディ(重口)の赤ワイン(約16~20℃)
渋みがしっかりとした赤ワインは、冷やし過ぎると渋みが強調され、ワイン本来の味が楽しめなくなります。
温度が高いほど渋みがまろやかに感じられるので、常温に近い方がよいとされています。
【ワインが残ってしまったら…】
ボトルのワインはなかなか1日では飲みきらないことも。
ここでは残ってしまったワインをおいしく保存する方法をご紹介します。
開封したワインの大敵は「酸化」。
空気に触れると酸化が進み、風味を損ねてしまうので、保存するときは抜いたコルク栓をしっかりはめましょう。そのときにラップを巻いてからはめると密閉性が増します。
しっかりと密閉したら、冷蔵庫で保存しましょう。そのときは縦置きにするのがベスト。
酸素に触れる面を極力減らすことで、急激な劣化を防ぐことができます。
それでもどんどんと風味は変わっていきます。
開封したものは1週間を目安に飲み切るようにしてください。
【「ボジョレーヌーボー」とは?】
11月になるとニュースなどでもよく「ボジョレーヌーボー」という言葉を聞きますよね。
ヌーボーは「新しい」を意味し、その名の通り、フランス・ボジョレー地区でその年に収穫したガメイ種のぶどうだけを使って造られる新酒のことです。
もともとは無事にぶどうが収穫できたことを皆でお祝いし、毎年収穫されたぶどうの品質をはかるための試飲用ワインだったようです。
地元住民中心に親しまれていましたが、それが注目されるようになると、ワインの販売者がいち早く出荷しようと競いはじめました。
その結果、質の悪いワインも出回るようになり、ボジョレーの評判を落としかねないほどに。
そこでフランス政府が、ワインの品質を下げないために解禁日を定めました。
11月の第3木曜日の午前0時に解禁され、時差の関係で日本は世界で一番早く、ボジョレーヌーボーが飲めるということで、毎年話題になっています。
ワインと料理を組み合わせることで、それぞれの味が最大限に引き出され、よりおいしく、食事を楽しむことができます。
世界各地のワインが売られているので、ぜひ自分好みの味を見つけてみてはいかがでしょうか。
Text by まち/食育インストラクター