更新日:2025/03/10
火傷や怪我をした時に気になるのが、「傷跡が残ってしまうのではないか?」ということ。市販薬でも傷の治りを促す塗り薬などがありますが、食事からも『健康な皮膚をつくる』という観点でアプローチすることは可能です。今回は、「皮膚の回復」と「食」について考えていきたいと思います。
今回は、『火傷』と『擦り傷』を例に挙げてお話しします。
●火傷熱によって皮膚や粘膜に障害が生じる外傷のひとつです。火傷の程度は接触する熱源の温度と接触時間によって決まり、深さによってⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度に分類され、それぞれ症状が異なります。Ⅰ度は赤みや熱感があるものの数日で治り、傷跡も残らないとされています。Ⅱ度は水ぶくれができ、傷口から浸出液が出てくると体内のたんぱく質、水分などが漏出します。より重症の場合は脱水、低たんぱく血症となることがあります。傷跡は、残る場合と残らない場合があります。Ⅲ度は神経や血管もダメージを受けているため、外見上白色に見えたり、痛みの感覚がなく、手術などの専門的な治療が必要となるレベルです。
●擦り傷皮膚の表面が削りとられ、神経の末端が露出するので強い痛みがあります。透明な組織液がにじみ出てくるのが特徴です。
目立つ傷跡にならないためには、傷の治りを促進させることが重要になります。今回は、健康な皮膚をつくるサポートをしてくれる栄養素を4つご紹介します。
●たんぱく質皮膚の組織を作る主材料で、代謝を活性化させるには不可欠な栄養素です。たんぱく質の摂取が不足すると、傷の治癒に関与するコラーゲンが減少してしまうので積極的に摂るようにしましょう。<多く含まれている食材>魚介、肉、卵、大豆製品など
●ビタミンA皮膚や粘膜を健康に保ち、肌の再生(ターンオーバー)を活発にします。<多く含まれている食材>人参、ほうれん草、うなぎなど
●ビタミンCコラーゲンの生成を促し、健康な皮膚をつくるアシストをします。<多く含まれている食材>ブロッコリー、赤パプリカ、果物(柑橘類)など
●ビタミンE細胞の老化防止に働くほか、毛細血管を広げ血行をよくします。傷跡の色素沈着を軽減する効果も期待できます。<多く含まれている食材>アーモンド、ごま、かぼちゃなど
ビタミンA・ビタミンEは脂溶性なので、炒め物やドレッシングをかけるなど、油脂と一緒に摂取すると吸収率が高まります。さまざまな食品を組み合わせて、食事にとり入れてみてくださいね。
今回は、上記でご紹介した栄養素をたくさん含む1品をご紹介します。
<材料(4人分)> 調理時間:25分豚ロース薄切り肉・・300g塩・こしょう・・少々片栗粉・・大さじ1ブロッコリー・・1個玉ねぎ・・1/2個人参・・1/2本A酒・・大さじ3A信州味噌・・大さじ3Aみりん・・小さじ2Aしょうゆ・・小さじ2A砂糖・・小さじ2A白すりごま・・大さじ2白いりごま・・小さじ2サラダ油・・小さじ2
<作り方>
1.豚肉は食べやすい大きさに切って塩・こしょうをふり、片栗粉をまぶしておく。2.ブロッコリーは小房に分け、茎の部分はかたい皮を取り除いてひと口大の乱切りにする。それぞれ塩(分量外)を加えた熱湯で1分ほどゆでてザルに上げる。3.玉ねぎは5mm厚のくし切りに、人参は4cm長さの短冊切りにする。4.フライパンに半量のサラダ油を熱し、(1)を入れて焼く。表面にこんがり焼き色がついたら一度取り出す。5.同じフライパンに残りのサラダ油を入れて熱し、(3)を入れて炒める。玉ねぎが透き通ってきたら(2)を入れて炒める。6.ブロッコリーに火が通ったら(4)を戻し入れてサッと炒め合わせ、合わせたAを加えて強火で炒める。汁気がなくなったらごまを加えて混ぜ合わせる。
モイストヒーリングは、傷の部位をドレッシング材(創傷被覆材、傷を覆う道具)でフタをして密封する方法です。湿気が保たれるため、かさぶたができずに体液が働きやすくなり、皮膚組織の再生がスムーズに行われて傷跡が残りにくくなります。そのほかにも、
といったメリットがあります。
ただし、モイストヒーリングがNGの場合も!
上記の場合は、より悪化してしまうので、モイストヒーリングはしないでください。モイストヒーリングは最低2~3日に1回は傷を観察し、感染を示す症状がないか確認するとともに貼り替えをしましょう。傷の周りが赤く腫れている、熱を持っていて痛みがある、膿が出ているなどの症状は、化膿を示すサインです。感染の症状がある場合にはモイストヒーリングを中止し、病院を受診しましょう。
いかがでしたか?効果的な栄養素を意識して摂りつつ、清潔に患部を保護することが綺麗に傷を治す秘訣です。皆さんもぜひとり入れてみてくださいね。
Text by ろい/食育インストラクター
火傷や怪我をした時に気になるのが、「傷跡が残ってしまうのではないか?」ということ。
市販薬でも傷の治りを促す塗り薬などがありますが、食事からも『健康な皮膚をつくる』という観点でアプローチすることは可能です。
今回は、「皮膚の回復」と「食」について考えていきたいと思います。
【火傷や怪我をしたら、皮膚はどんな状態になるの?】
今回は、『火傷』と『擦り傷』を例に挙げてお話しします。
●火傷
熱によって皮膚や粘膜に障害が生じる外傷のひとつです。
火傷の程度は接触する熱源の温度と接触時間によって決まり、深さによってⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度に分類され、それぞれ症状が異なります。
Ⅰ度は赤みや熱感があるものの数日で治り、傷跡も残らないとされています。
Ⅱ度は水ぶくれができ、傷口から浸出液が出てくると体内のたんぱく質、水分などが漏出します。
より重症の場合は脱水、低たんぱく血症となることがあります。
傷跡は、残る場合と残らない場合があります。
Ⅲ度は神経や血管もダメージを受けているため、外見上白色に見えたり、痛みの感覚がなく、手術などの専門的な治療が必要となるレベルです。
●擦り傷
皮膚の表面が削りとられ、神経の末端が露出するので強い痛みがあります。
透明な組織液がにじみ出てくるのが特徴です。
【健康な皮膚に導いてくれる栄養素とは】
目立つ傷跡にならないためには、傷の治りを促進させることが重要になります。
今回は、健康な皮膚をつくるサポートをしてくれる栄養素を4つご紹介します。
●たんぱく質
皮膚の組織を作る主材料で、代謝を活性化させるには不可欠な栄養素です。
たんぱく質の摂取が不足すると、傷の治癒に関与するコラーゲンが減少してしまうので積極的に摂るようにしましょう。
<多く含まれている食材>
魚介、肉、卵、大豆製品など
●ビタミンA
皮膚や粘膜を健康に保ち、肌の再生(ターンオーバー)を活発にします。
<多く含まれている食材>
人参、ほうれん草、うなぎなど
●ビタミンC
コラーゲンの生成を促し、健康な皮膚をつくるアシストをします。
<多く含まれている食材>
ブロッコリー、赤パプリカ、果物(柑橘類)など
●ビタミンE
細胞の老化防止に働くほか、毛細血管を広げ血行をよくします。
傷跡の色素沈着を軽減する効果も期待できます。
<多く含まれている食材>
アーモンド、ごま、かぼちゃなど
ビタミンA・ビタミンEは脂溶性なので、炒め物やドレッシングをかけるなど、油脂と一緒に摂取すると吸収率が高まります。
さまざまな食品を組み合わせて、食事にとり入れてみてくださいね。
【皮膚の健康を考えたレシピをご紹介!】
今回は、上記でご紹介した栄養素をたくさん含む1品をご紹介します。
【豚肉とブロッコリーのごま味噌炒め】
<材料(4人分)> 調理時間:25分
豚ロース薄切り肉・・300g
塩・こしょう・・少々
片栗粉・・大さじ1
ブロッコリー・・1個
玉ねぎ・・1/2個
人参・・1/2本
A酒・・大さじ3
A信州味噌・・大さじ3
Aみりん・・小さじ2
Aしょうゆ・・小さじ2
A砂糖・・小さじ2
A白すりごま・・大さじ2
白いりごま・・小さじ2
サラダ油・・小さじ2
<作り方>
1.豚肉は食べやすい大きさに切って塩・こしょうをふり、片栗粉をまぶしておく。
2.ブロッコリーは小房に分け、茎の部分はかたい皮を取り除いてひと口大の乱切りにする。
それぞれ塩(分量外)を加えた熱湯で1分ほどゆでてザルに上げる。
3.玉ねぎは5mm厚のくし切りに、人参は4cm長さの短冊切りにする。
4.フライパンに半量のサラダ油を熱し、(1)を入れて焼く。
表面にこんがり焼き色がついたら一度取り出す。
5.同じフライパンに残りのサラダ油を入れて熱し、(3)を入れて炒める。
玉ねぎが透き通ってきたら(2)を入れて炒める。
6.ブロッコリーに火が通ったら(4)を戻し入れてサッと炒め合わせ、合わせたAを加えて強火で炒める。
汁気がなくなったらごまを加えて混ぜ合わせる。
【「モイストヒーリング」、ご存じですか?】
モイストヒーリングは、傷の部位をドレッシング材(創傷被覆材、傷を覆う道具)でフタをして密封する方法です。
湿気が保たれるため、かさぶたができずに体液が働きやすくなり、皮膚組織の再生がスムーズに行われて傷跡が残りにくくなります。
そのほかにも、
といったメリットがあります。
ただし、モイストヒーリングがNGの場合も!
上記の場合は、より悪化してしまうので、モイストヒーリングはしないでください。
モイストヒーリングは最低2~3日に1回は傷を観察し、感染を示す症状がないか確認するとともに貼り替えをしましょう。
傷の周りが赤く腫れている、熱を持っていて痛みがある、膿が出ているなどの症状は、化膿を示すサインです。
感染の症状がある場合にはモイストヒーリングを中止し、病院を受診しましょう。
いかがでしたか?
効果的な栄養素を意識して摂りつつ、清潔に患部を保護することが綺麗に傷を治す秘訣です。
皆さんもぜひとり入れてみてくださいね。
Text by ろい/食育インストラクター