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たべて元気♪「食だより」

食育

お盆にはどのようなものが食べられるの?

更新日:2025/08/11

ご先祖様を供養する期間であるお盆。
家族や親戚が集まり、大勢で食卓を囲むことも多いのでは?
今回はお盆の供え物や料理をご紹介します。

【そもそもお盆って何の日?】

仏教の行事のひとつで、正式には「盂蘭盆会(うらぼんえ)」と言い、ご先祖様の霊を家に迎え、供養し、その冥福を祈る期間です。
この期間は、亡くなったご先祖様が天国から地上に戻ってくると言われています。
現在、一般的にお盆と呼ばれているのは、8月13日~16日の4日間です。
しかし、地域によっては7月13日~16日にお盆を迎える所もあります。
13日のお盆の入りに、ご先祖様の霊を招くために迎え火を焚き、あの世へ帰られる16日に送り火を焚いて送り出します。

【精霊馬(しょうりょううま)と盆提灯】

お盆といえば、きゅうりとなすで作ったお供えものを思い浮かべる方も多いのでは?
これは精霊馬といい、お盆の時期にご先祖様があの世とこの世を移動するのに欠かせない乗り物です。
きゅうりは早く家に帰ってこられるようにと願いを込めて足の速い馬に、なすはゆっくり帰っていってほしいという願いを込めて歩みの遅い牛に見立てて飾ります。
また、盆提灯は精霊棚または仏壇の左右に飾る提灯のことで、故人やご先祖様が迷わず帰ってこられるようにと、目印として飾られます。

【お盆にお供えするものは?】

先にご紹介した精霊馬や盆提灯に加え、「五供(ごく)=香、花、灯明、浄水、飲食(おんじき)の5つのこと」をお供えします。
このときの飲食は、普段も口にしているものや、精進料理などさまざまですが、お供えをするときに控えたほうがよい食材があります。

■三厭(さんえん)
仏教では、獣類、鳥類、魚類を「三厭」と呼び、精進料理には入れないものとされてきました。
これは、仏教の教えのひとつである「五戒」のなかで、生き物の殺生が禁じられており、そのことからお盆の期間も避けるようになったとされています。

■「五辛(ごしん)、五葷(ごくん)」
五辛は辛味のある野菜、五葷はにおいの強い野菜
のことです。
「にら・ねぎ・玉ねぎ・にんにく・らっきょう」などを指し、これらを食べると煩悩を刺激するため、控えたほうがよいと言われるようになりました。

【お盆に食べる定番料理】

■おはぎ
古くから小豆の赤い色は邪気を払うとされ、魔除けの効果があると信じられていることから、お供えの定番になっています。

■そうめん
夏の食卓によく登場するそうめんは、お盆の定番料理でもあります。
そうめんをお供えするのは、「細く長く幸せが続くように」という願いが込められているという説やご先祖様が乗ってくる精霊馬にお土産をくくりつける紐に見立てているという説があります。

■精進料理
仏教の教えのもと、一般的に肉や魚を使わず、豆や野菜、海藻、果物などを用いて作られた料理のことです。
動物性食品のほか、五辛・五葷は使わずに作ります。
また、「五味・五色・五法」の考えによって成り立っており、五つの味(甘・酸・鹹(かん)・辛・苦)、五つの色、五つの調理法(生、煮る、焼く、揚げる、蒸す)をとり入れ、食材本来の持ち味を損なうことなく、素材をいかした料理に仕上げます。

【地域ならではのお盆の食べ物】

■天ぷらまんじゅう(長野県)
おまんじゅうに天ぷら粉をつけて油で揚げたもの
で、長野県をはじめ、島根県や福島県、滋賀県など、日本各地に点々と存在しています。
発祥とも言われる長野県では、お盆の時期になると野菜の天ぷらなどと一緒に器に盛られ、塩をつけたり、天つゆにつけて食べたりするそうです。

■あらめの煮物(京都府)
あらめは海藻の一種
で、昔から伊勢神宮にお供え物として献上されてきました。
関東ではなじみのない海藻ですが、関西ではお盆に煮物を作り、古くから食べられてきたそうです。
京都府では、8月16日の朝にあらめを炊いてお供えし、そのゆで汁を玄関にまくという風習があります。
これは、「追い出しあらめ」と呼ばれ、ご先祖様が未練を残さず無事にあの世に変えれるようにという願いが込められています。

■かいのこ汁(鹿児島県)
大豆、ごぼう、人参、昆布のほか、夏野菜のなす、芋がら、かぼちゃ、きくらげなど具材がたっぷり入った、みそ仕立ての汁もの
です。「かいのこ」という呼び名は、粥の子(かゆのこ)がなまったもので、粥の子はお盆のごちそうとしてお供えする白粥の子(添えもの)からきていると言われています。

現代ではお供えや食事に厳しい決まりごとは無くなりつつあり、故人が好きだった料理や家庭の味をお供えすることも多くなってきているようです。
堅苦しく考えず、家族で楽しく食卓を囲み、故人やご先祖様との時間を過ごしましょう。

Text by まち/食育インストラクター