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たべて元気♪「食だより」

健康づくり

味覚の鈍化にはご注意を!

更新日:2025/08/08

年齢を重ねるごとに、体にはさまざまな変化が起こります。
味覚もそのひとつで、高齢になると塩味を感じにくくなり、塩分の過剰摂取から高血圧や心臓病などのリスクが高まると言われています。
今回は、『味覚の鈍化』についてお話しします。

【そもそも「味覚」とは?】

私たちは普段食事をするなかでいろいろな味を感じています。
食べ物を口の中に入れたときに感じる感覚のことを「味覚」と言います。
味覚は、「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「うま味」の5つの基本味で構成されています。
人間にとって基本味を感じることは、おいしさを感じるためだけでなく、危険な食べ物を避けたり、安全に栄養素を摂取するためにとても重要です。
そして、これら5つの基本味は、人が本能的に好む『体に必要なものを教えてくれる味』と、本能的に避ける『体に危険なものを教えてくれる味』に分けられます。

<体に必要なものを教えてくれる味>

  • 甘味
  • 塩味
  • うま味

甘味はエネルギー源となる糖分を、塩味はミネラルの存在を知らせる味です。
うま味は、たんぱく質を消化し、必要なアミノ酸を生成するために重要な役割を担っています。

<体に危険なものを教えてくれる味>

  • 酸味
  • 苦味

この2つは腐敗や毒を持つ食物のサインとして、人間が本能的に避ける味と考えられています。

これらの多様な味覚がいろいろと組み合わさることで、料理のおいしさや楽しさがより一層高まります。

【味覚はいつごろ、どのように発達していくの?】

味覚は、口内や舌の表面にある「味蕾(みらい)」という器官で感じ取ります。
その機能は生まれたときが最も敏感で、生後5~6カ月になり離乳食が始まると、赤ちゃんは離乳食を通じてさまざまな味を知っていきます。
そのときに味だけでなく舌触りや食感、見ためや香り、温度など、五感を最大限に使って食べ物を感じ、おいしさを学習していきます。
そして、成長とともに食べられる味が広がっていくことで味覚は発達していきます。
味覚の発達は、主に幼児期に重要な段階を迎えます。特に3歳ころが味覚の発達のピークとも言われ、五味を体験して好みが形成されます。
また、10歳ころまでの味の記憶が、その後の味覚の基礎になるとも言われています。
そのため、子どものうちに多くの味を経験し、味覚の幅を広げておくことが味覚の発達に繋がるのです。

【味覚が鈍くなる理由】

●味蕾の減少、萎縮
味蕾は老化とともに減少・委縮し、高齢者の味蕾の数は新生児の1/3にまで減少すると言われています。
それによって味が感じにくくなることは、生理現象であるとも言えます。

●亜鉛不足
亜鉛が不足すると味蕾細胞の新陳代謝が起こりにくくなり、味蕾の働きが悪く
なります。
亜鉛不足は、過剰なダイエットやファストフードのとりすぎなど、食生活の乱れがあると起きやすくなります。
また、食品添加物の多い食品は亜鉛の吸収を妨げるものもあり、近年若者に味覚障害が増えているのは、それも原因として考えられます。
亜鉛は牡蠣や牛肉、レバーなどに多く含まれています。
しかし、これらを毎日食べるのはなかなか大変なので、亜鉛を含む豆腐や卵、白米など、いろいろな食品から少しずつ摂ることを意識してみてくださいね。

●唾液分泌量の低下
唾液は味の成分を溶解して味蕾へ運ぶほか、味蕾細胞を保護する役割を果たしているので、味を感じるには唾液が必要不可欠です。
唾液分泌量の低下は、加齢やシェーグレン症候群などによって起こります。(※シェーグレン症候群とは、涙腺や唾液腺をはじめとする外分泌腺に慢性的に炎症が起こり、ドライアイやドライマウスなどの乾燥症状が現れる自己免疫疾患のことです。)
唾液分泌量を増やすには、よく噛んで食べるほか、こまめな水分補給や鼻呼吸が効果的です。

 ●ストレス
長期間にわたってストレスを感じ続けたり、短期間であっても強いストレスを感じると、心因性の味覚障害が生じる場合があります。
ストレスなどの影響により発症した統合失調症、うつ病の一症状として味覚障害が現れることもあります。

そのほか、薬の副作用や、風邪や花粉症などで鼻が詰まっていると味が分かりにくくなります。

いかがでしたか?
食事でおいしさを感じることは、心と体の元気に繋がります☆
甘味や塩味がしっかりしているものは、脳がおいしいと認識して幸福感を得ますが、食べ過ぎると味覚の感受性が低下してしまいます。
歳を重ねても食事を楽しめるよう、日ごろから「塩(分)・糖(分)・脂(質)」を意識して味覚の感受性を高めていきましょう!

Text by ろい/食育インストラクター