更新日:2025/08/25
月経のある女性にだけ多いと思われがちな「鉄不足」。実は、乳幼児も鉄が不足しがちなのです!!
育児用ミルクには、鉄が含まれているので鉄不足の心配はないのですが、母乳育児の場合は注意が必要です。母乳に含まれる鉄は出産後から徐々に減っていき、生後12か月ころには初乳の約半分に!!母乳育児の場合、生後6カ月を過ぎると赤ちゃんの貯蔵鉄(生まれる際に持っている鉄)が急激に減少してしまうため、そのころから「鉄」が不足しがちになります。離乳食を食べず、母乳がメインの生活だと「鉄欠乏」の恐れも!
血液中の赤血球には、体内の組織に酸素を運搬するという大切な役割を担っている「ヘモグロビン」が存在し、その主原料が「鉄」です。体内の鉄は、血液を通して全身に酸素の運搬をする「機能鉄」、肝臓・膵臓・骨髄・筋肉などに蓄えられる「貯蔵鉄」の2種類に大きく分かれます。通常体内で使われるのは機能鉄ですが、不足すると蓄えている貯蔵鉄を使って補います。
ヘモグロビンも減り、それにともない赤血球の数が減って「鉄欠乏性貧血」になり、酸素を十分に運べなくなります。そうなると血液の中が酸欠状態になるので、動悸や息切れ、食欲不振、集中力の低下や頭痛などを引き起こします。また、乳児期に長い間極端に鉄が不足すると、その後の知能の発達に深刻な影響を及ぼすことが報告されています。脳神経の発達の遅れは、運動機能にもあらわれるため、鉄をしっかり摂ることがとても大切です。
【鉄が豊富な食品は?】
鉄は動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。それぞれの鉄を豊富に含む食品を以下にまとめてみました。
●ヘム鉄
●非ヘム鉄
このほか、一度に多くは食べられませんが、ごまや海苔などにも鉄が豊富に含まれています。
鉄の吸収は、体内の貯蔵鉄の量によって異なり、貯蔵鉄が少ないと吸収が促進され、多いと吸収が抑制されます。また鉄の吸収率は、一般的に非ヘム鉄よりもヘム鉄の方が高いと言われているものの、ヘム鉄と非ヘム鉄の構成比、鉄の吸収促進や阻害要因となる栄養素、食品の摂取量や鉄の必要状態によって異なります。近年の研究によると、非ヘム鉄は鉄が不足し必要としている状態だと鉄の吸収が高まることがわかっています。これを踏まえ、吸収率が低いと言われている非ヘム鉄でも、鉄不足の状態で非ヘム鉄それ自体の吸収がよくなることと合わせれば、食べ合わせによってはとても効果的に鉄を補うことが期待できます。
非ヘム鉄は、たんぱく質が豊富な肉や魚、ビタミンCが豊富な野菜や果物と一緒に摂ると吸収率が高まります。また、鉄は水溶性なのでゆでたり、煮たりするとゆで汁や煮汁に溶け出します。みそ汁やスープのように、汁ごと食べられる料理にすると鉄を無駄なく摂取できます。そのほか、月齢に合わせて鉄・ビタミン・ミネラルなどが添加されたフォローアップミルクや、鉄を補給する赤ちゃん用のふりかけ・おやつなどを利用してみるのもよいですね。
いかがでしたか?鉄は乳幼児期の脳の発達に欠かせない栄養素です。貯蔵鉄が少なくなる6カ月以降の離乳食では、鉄を含む食品を意識して食べさせてあげましょう。
Text by くまこ/食育インストラクター
月経のある女性にだけ多いと思われがちな「鉄不足」。
実は、乳幼児も鉄が不足しがちなのです!!
【鉄の需要が高くなる乳児期】
育児用ミルクには、鉄が含まれているので鉄不足の心配はないのですが、母乳育児の場合は注意が必要です。
母乳に含まれる鉄は出産後から徐々に減っていき、生後12か月ころには初乳の約半分に!!
母乳育児の場合、生後6カ月を過ぎると赤ちゃんの貯蔵鉄(生まれる際に持っている鉄)が急激に減少してしまうため、そのころから「鉄」が不足しがちになります。
離乳食を食べず、母乳がメインの生活だと「鉄欠乏」の恐れも!
【鉄とは?】
血液中の赤血球には、体内の組織に酸素を運搬するという大切な役割を担っている「ヘモグロビン」が存在し、その主原料が「鉄」です。
体内の鉄は、血液を通して全身に酸素の運搬をする「機能鉄」、肝臓・膵臓・骨髄・筋肉などに蓄えられる「貯蔵鉄」の2種類に大きく分かれます。
通常体内で使われるのは機能鉄ですが、不足すると蓄えている貯蔵鉄を使って補います。
【鉄が少なくなると…】
ヘモグロビンも減り、それにともない赤血球の数が減って「鉄欠乏性貧血」になり、酸素を十分に運べなくなります。
そうなると血液の中が酸欠状態になるので、動悸や息切れ、食欲不振、集中力の低下や頭痛などを引き起こします。
また、乳児期に長い間極端に鉄が不足すると、その後の知能の発達に深刻な影響を及ぼすことが報告されています。
脳神経の発達の遅れは、運動機能にもあらわれるため、鉄をしっかり摂ることがとても大切です。
【鉄が豊富な食品は?】
鉄は動物性食品に含まれる「ヘム鉄」と植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」の2種類があります。
それぞれの鉄を豊富に含む食品を以下にまとめてみました。
●ヘム鉄
●非ヘム鉄
このほか、一度に多くは食べられませんが、ごまや海苔などにも鉄が豊富に含まれています。
【鉄の吸収】
鉄の吸収は、体内の貯蔵鉄の量によって異なり、貯蔵鉄が少ないと吸収が促進され、多いと吸収が抑制されます。
また鉄の吸収率は、一般的に非ヘム鉄よりもヘム鉄の方が高いと言われているものの、ヘム鉄と非ヘム鉄の構成比、鉄の吸収促進や阻害要因となる栄養素、食品の摂取量や鉄の必要状態によって異なります。
近年の研究によると、非ヘム鉄は鉄が不足し必要としている状態だと鉄の吸収が高まることがわかっています。これを踏まえ、
吸収率が低いと言われている非ヘム鉄でも、鉄不足の状態で非ヘム鉄それ自体の吸収がよくなることと合わせれば、食べ合わせによってはとても効果的に鉄を補うことが期待できます。
【鉄の吸収を高めるには?】
非ヘム鉄は、たんぱく質が豊富な肉や魚、ビタミンCが豊富な野菜や果物と一緒に摂ると吸収率が高まります。
また、鉄は水溶性なのでゆでたり、煮たりするとゆで汁や煮汁に溶け出します。
みそ汁やスープのように、汁ごと食べられる料理にすると鉄を無駄なく摂取できます。
そのほか、月齢に合わせて鉄・ビタミン・ミネラルなどが添加されたフォローアップミルクや、鉄を補給する赤ちゃん用のふりかけ・おやつなどを利用してみるのもよいですね。
いかがでしたか?
鉄は乳幼児期の脳の発達に欠かせない栄養素です。
貯蔵鉄が少なくなる6カ月以降の離乳食では、鉄を含む食品を意識して食べさせてあげましょう。
Text by くまこ/食育インストラクター