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たべて元気♪「食だより」

SDGs

魚の養殖に関わる決まり、水産エコラベルとASC認証とは?

更新日:2025/09/01

海洋国である日本。
海と魚を巡る環境問題については、特に気をつけていかなければならない話題のひとつです。
今回はそんな海と魚の環境に関わる養殖事業と、それにまつわる認証制度のお話です。

【水産エコラベルとは?】

技術の進んだ昨今では、さまざまな海産物が養殖され、安定して食べることができるようになっています。
また、天然の水産資源には限りがあり、環境問題などの影響によっては枯渇するリスクもあると懸念されています。
そのため、養殖はこれからも私たちの食卓を支えてくれる重要な存在のひとつと言っても過言ではありません。
しかし、養殖を行っているエリアでは残餌や排泄物などが海底に溜まり、水質の悪化を招く可能性があるなどのデメリットもあります。

一般的に、海産物の養殖は海の中にいけすなどをつくり、その中で対象となる海産物を育てる方式が多くを占めています(一部、陸上での養殖が行われる魚介類もあります)。
海の環境をよりよい状態で維持することは、これからも安定して養殖を行っていくことや、海産物の質を保つためにも必要なことです。
そこで注目されているのが、水産エコラベルです。
これは海産物のパッケージなどに貼るラベルで、持続可能な環境に配慮した漁業で獲られた水産物であったり、生態系の保護に取り組む漁業であることが一目でわかるようになっています。

水産エコラベルは1995年のFAO(国連食糧農業機関)総会で、水産資源の利用や生態系に関する「責任ある漁業のための行動規範」が示され、具体案として検討が始まりました。
2005年には同じくFAOが「水産エコラベルのためのガイドライン」を策定したことで、さまざまな国でこれを基準としたエコラベルが生まれ、認証されています。
現在日本で主に活用されている水産エコラベル認証は、日本発のMEL認証・イギリス発のMSC認証・オランダ発のASC認証の3つです。
国産の魚介類であればMEL認証・輸入された魚介類のうち、養殖されたものはASC認証・天然水産物はMSC認証を掲示している傾向があります。
いずれも国際的に認められた認証なので、海産物を購入するときはこれらのエコラベルがあるかどうかを探して購入すると、消費活動で海の資源を守ることに繋がります。
令和7年の日本では、まだ、認証エコラベルの認知度が低く、消費者からは意識されていない現状にあるようです。
しかし、日本の水産庁は水産エコラベルの普及推進に取り組んでいるので、今後はより、私たちの身近な場所で目にする機会が増えていくでしょう。

【ASC認証とは?】

ASC認証は現在、養殖に関するエコラベルの中でも特に多く普及していて、世界で2000以上の養殖場を認証しています。
これまで、日本でASC認証を目にする機会は、養殖かつ輸入品が主となるサーモンやムール貝などの食品が多めでした。
現在はASC認証を取得している日本の養殖場が増えつつあり、市場も拡大してきています。
そのため、ASC認証エコラベルが掲示してある食品は今後も増えていく見込みです。

水産エコラベル認証を受けた海産物は由来や流通経路が明確なので、消費者にとっては「環境によい」だけではない安全性のメリットもあります。
現在は急速に普及が進んでいるところなので、これから海産物を購入するときの指標として覚えておきましょう。

Text by はむこ/食育インストラクター