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たべて元気♪「食だより」

健康づくり

唾液量の変化に気をつけよう!

更新日:2025/12/03

歳を重ねると、体にさまざまな変化が起きます。
「唾液量の低下」もそのひとつです。
今回は、意外と知らない?『唾液』の役割や、分泌を促す方法をご紹介します。

【唾液は重要な役割を担っている!】

唾液は、口の中にある唾液腺(耳下腺・顎下腺・舌下腺と多数の小唾液腺)から分泌される体液の総称です。
個人差や体調による変動も大きいですが、1日に約1Lもの量が分泌されます。
口の中に食べ物が入ったり(無条件反射)、食べ物を見たりにおいをかいだり連想したり(条件反射)すると唾液の分泌が起こります
分泌する唾液腺により成分は異なりますが、成分のうち99.5%は水分です。
今回は、唾液にはどんな働きがあるのかをご紹介していきます。

●消化作用
唾液中のα-アミラーゼ(消化酵素)が食べ物に含まれるでんぷんを麦芽糖へと分解し、消化されやすい状態にします。

●保護・修復作用
唾液に含まれるたんぱく質が歯の表面に薄い膜をつくります。
これが、細菌による刺激や感染、歯のエナメル質の溶解を防いでくれます。

 ●溶解作用
唾液に味覚物質が溶け出し、味を感じる器官(味蕾)に味のもととなる物質を届けてくれます。

●湿潤作用
唾液が口内の粘膜全体を覆って保湿・保護します。

●中和作用
食事をすると口内が酸性に傾き、歯の表面にあるエナメル質からカルシウムやリン酸などのミネラル分が溶け出しやすくなりますが、唾液によって酸が中和されることで防ぐことができます。

●洗浄作用
歯の表面を洗浄します。

●抗菌作用
細菌やウイルスの増殖を防いだり、活動を抑制したりします。

口内は唾液が分泌され、正常に働くことによって清潔に保たれるので、唾液は私たちの体の中で重要な役割を担っていると言えます。

【どうして唾液量は減るの?】

今回は、代表的なものを3つご紹介します。

●加齢
加齢により筋力が低下したり、全身の水分量が減少したり、ホルモンバランスが変化することによって唾液が出にくくなります。

●更年期障害や糖尿病などの全身性の疾患
更年期障害:女性ホルモン(エストロゲン)の低下により唾液が出にくくなります。
糖尿病:尿量が増加するため脱水状態になりやすく、唾液の量も少なくなります。

●心理的要因
ストレスや精神的な緊張によって自律神経のバランスが崩れ、唾液の分泌量が少なくなることがあります。

このほか、睡眠薬や抗うつ薬、抗てんかん薬などの薬の一部は、唾液分泌を抑えるものがあり、薬の副作用により唾液量が減る場合もあります。

【唾液量が減ると、どんなことが起こるの?】

1.歯周病になりやすい
通常は唾液の抗菌作用によって細菌の量が調整されていますが、分泌量が少ないと細菌が活発に働いて歯周病を発症しやすくなります。

2.虫歯になりやすい
分泌量が少ないと、十分な洗浄作用が見込めません。
食べカスが口の中に残りがちになり、虫歯菌がどんどん繁殖して歯を徐々にむしばみ、やがて虫歯になってしまいます。

3.口内炎ができやすい
唾液は潤滑油のような役割を果たしており、少ないと口内を傷つけやすくなります。
そこから細菌が侵入し、口内炎ができやすくなります。

4.口腔内にカビが生じる
口の中には多数の常在菌が存在しており、カビの一種である「カンジダ」もそれに含まれます。
分泌量が少ないと、菌が活発化して口の中がカビだらけになるリスクが高くなります。

5.入れ歯が外れたり痛んだりする
人体の中で一番かたい部位が歯だといわれていますが、歯茎はそれほどでもありません。
衝撃や摩擦、刺激に弱いため、ご高齢の方は唾液不足で入れ歯と歯茎の間が乾燥すると痛みが出る場合があります。

【唾液の分泌を促すには?】

●よく噛んで食べる
噛むことが刺激となって唾液の分泌が促されるため、ゆっくりよく噛んで食事を楽しみましょう。

●唾液の分泌を促す食品を摂る
酸味のあるレモンや梅干しなどは唾液を出すことで知られていますが、昆布のアルギン酸や納豆のポリグルタミン酸などにも唾液の分泌を増やす働きがあります。
しかし、口の中の状態によっては、酸味の強いものは痛みが増強したり、状態が悪化したりすることがあるので摂り過ぎには注意しましょう。

●リラックスして過ごす
唾液の分泌は、自律神経(交感神経、副交感神経) によって調節されています。
リラックスした状態ではサラサラとした唾液が多く分泌され、口の中が潤います。
一方、ストレスを感じたり緊張した状態ではネバネバとした唾液になります。
食事や寝る時間がバラバラで、自律神経のバランスが崩れると、唾液の分泌にも影響が出るため、規則正しいリズムで生活することが大切です。

●水分を積極的に摂る
唾液のもとになる体の水分が不足しないよう、積極的に摂るように心がけましょう。

いかがでしたか?
毎日飲食するうえで、「唾液」はとても重要な働きを持っています。
日ごろから口の状態に関心を持ち、食事がおいしく食べられる潤いのある口を保っていきましょう!

Text by ろい/食育インストラクター