更新日:2024/04/10
皆さんは、歯磨きにどのくらいの時間をかけていますか?毎日のことなので、サッと1分ほどで終えてしまっている方も多いのではないでしょうか?歯は将来的に長く付き合っていくパートナーで、口腔内を健康に保つことはとても大切です。今回は、口腔内の健康について考えていきたいと思います。
それは、口の中が不衛生だと虫歯や歯周病、口臭の原因になるだけでなく、糖尿病、認知症などの病気を引き起こす可能性があるためです。口の中が綺麗な状態だと、汚れや細菌を洗い流す作用のある唾液の分泌が促進され、虫歯や歯周病の予防になります。また、歯や歯茎が健康な状態だと、しっかり噛んで食べることができ、飲み込む力を維持することもできます。しっかり噛んで食べることができれば、食事をとることに積極的になりやすく、栄養不足を防ぐ一助となります。そして、飲み込む力が維持できれば、高齢者に多い誤嚥性肺炎を防ぐことができます。誤嚥性肺炎とは、飲み込む力が低下している高齢者がかかることの多い病気で、唾液や食べ物が口の中の細菌とともに気道に入ってしまい、肺に炎症が起きます。誤嚥性肺炎は命に関わることもある病気なので、注意が必要です。
近年、「歯の数や入れ歯の利用といった口腔の健康状態が、認知症と関わりがあるのではないか」という研究結果が発表されています。調査の結果、認知症のリスクが高くなるのは、以下にあてはまる方であることが分かりました。
<認知症のリスクが高くなる方>
1.歯がほとんどなく、入れ歯を使用していない方2.あまり噛めない方3.かかりつけ歯科医のいない方
特に、「歯がほとんどなく、入れ歯を使用していない方」と「自分の歯が20本以上ある方」とでは、前者の方が1.9倍も認知症になるリスクが高くなるという結果が出ました。
一見結びつかないこの2つの事項ですが、以下のような可能性が考えられます。
●咀しゃく回数の低下咀しゃく回数が低下すると脳の認知機能への刺激が少なくなり、その結果、認知機能の低下が起こって認知症を発症しやすくなるのではないかということです。
●食べ物の偏り歯に不具合があるということは、食べられるものに偏りが出る可能性が考えられます。そうすると、やわらかい菓子パンや麺類などばかりを食べ、野菜や肉類などの摂取が少なくなった結果、ビタミン類の摂取が不足してしまうと想定されます。実は、ビタミン類の摂取不足は認知症を発症しやすくすると考えられていて、注意が必要です。
●歯周病歯を失うと、歯茎がむき出しになっている状態になります。これが歯周病や慢性的な炎症を起こし、結果的に血液を介して脳に悪影響を及ぼしているのではないかという可能性が指摘されています。
口の中の衛生を保つことは、老若男女問わずとても大切です。なかでも高齢者は、虫歯や歯周病などによって多くの歯を失うことで咀しゃく機能や嚥下機能といった口腔機能が低下し、十分な栄養が摂れなくなると低栄養のリスクが高まります。高齢者の低栄養は、筋肉量の減少によるサルコペニアやロコモティブシンドローム(運動器症候群)に繋がり、要介護となるリスクを高めます。そこで、高齢者の口腔機能低下のリスクに対応するために、咀嚼機能や嚥下機能などの口腔機能の状態を評価する口腔機能検査が、歯科医療機関や後期高齢者の歯科健診で広く行われるようになっています。口腔機能の低下が疑われる場合は、適切な歯科治療や口腔機能を向上させるためのトレーニングを行うことで口腔機能の改善を図り、全身の健康維持に努めることが望まれます。
いかがでしたか?口腔内は、髪の毛のような細くやわらかなものが入っただけでも気になるほど敏感です。また、普段はほかの人に見られたり、触られたりすることがない部分です。だからこそ、自分の健康は自分でしっかり守るよう、心掛けていきたいですね☆
Text by ろい/食育インストラクター
皆さんは、歯磨きにどのくらいの時間をかけていますか?
毎日のことなので、サッと1分ほどで終えてしまっている方も多いのではないでしょうか?
歯は将来的に長く付き合っていくパートナーで、口腔内を健康に保つことはとても大切です。
今回は、口腔内の健康について考えていきたいと思います。
【口腔ケアはどうして大切なの?】
それは、口の中が不衛生だと虫歯や歯周病、口臭の原因になるだけでなく、糖尿病、認知症などの病気を引き起こす可能性があるためです。
口の中が綺麗な状態だと、汚れや細菌を洗い流す作用のある唾液の分泌が促進され、虫歯や歯周病の予防になります。
また、歯や歯茎が健康な状態だと、しっかり噛んで食べることができ、飲み込む力を維持することもできます。
しっかり噛んで食べることができれば、食事をとることに積極的になりやすく、栄養不足を防ぐ一助となります。
そして、飲み込む力が維持できれば、高齢者に多い誤嚥性肺炎を防ぐことができます。
誤嚥性肺炎とは、飲み込む力が低下している高齢者がかかることの多い病気で、唾液や食べ物が口の中の細菌とともに気道に入ってしまい、肺に炎症が起きます。
誤嚥性肺炎は命に関わることもある病気なので、注意が必要です。
【口腔内に問題があると、認知症を発症しやすい?】
近年、「歯の数や入れ歯の利用といった口腔の健康状態が、認知症と関わりがあるのではないか」という研究結果が発表されています。
調査の結果、認知症のリスクが高くなるのは、以下にあてはまる方であることが分かりました。
<認知症のリスクが高くなる方>
1.歯がほとんどなく、入れ歯を使用していない方
2.あまり噛めない方
3.かかりつけ歯科医のいない方
特に、「歯がほとんどなく、入れ歯を使用していない方」と「自分の歯が20本以上ある方」とでは、前者の方が1.9倍も認知症になるリスクが高くなるという結果が出ました。
【どうして口腔内の問題が認知症に結び付くの?】
一見結びつかないこの2つの事項ですが、以下のような可能性が考えられます。
●咀しゃく回数の低下
咀しゃく回数が低下すると脳の認知機能への刺激が少なくなり、その結果、認知機能の低下が起こって認知症を発症しやすくなるのではないかということです。
●食べ物の偏り
歯に不具合があるということは、食べられるものに偏りが出る可能性が考えられます。
そうすると、やわらかい菓子パンや麺類などばかりを食べ、野菜や肉類などの摂取が少なくなった結果、ビタミン類の摂取が不足してしまうと想定されます。
実は、ビタミン類の摂取不足は認知症を発症しやすくすると考えられていて、注意が必要です。
●歯周病
歯を失うと、歯茎がむき出しになっている状態になります。
これが歯周病や慢性的な炎症を起こし、結果的に血液を介して脳に悪影響を及ぼしているのではないかという可能性が指摘されています。
【高齢者の口腔ケアは特に重要!】
口の中の衛生を保つことは、老若男女問わずとても大切です。
なかでも高齢者は、虫歯や歯周病などによって多くの歯を失うことで咀しゃく機能や嚥下機能といった口腔機能が低下し、十分な栄養が摂れなくなると低栄養のリスクが高まります。
高齢者の低栄養は、筋肉量の減少によるサルコペニアやロコモティブシンドローム(運動器症候群)に繋がり、要介護となるリスクを高めます。
そこで、高齢者の口腔機能低下のリスクに対応するために、咀嚼機能や嚥下機能などの口腔機能の状態を評価する口腔機能検査が、歯科医療機関や後期高齢者の歯科健診で広く行われるようになっています。
口腔機能の低下が疑われる場合は、適切な歯科治療や口腔機能を向上させるためのトレーニングを行うことで口腔機能の改善を図り、全身の健康維持に努めることが望まれます。
いかがでしたか?
口腔内は、髪の毛のような細くやわらかなものが入っただけでも気になるほど敏感です。
また、普段はほかの人に見られたり、触られたりすることがない部分です。
だからこそ、自分の健康は自分でしっかり守るよう、心掛けていきたいですね☆
Text by ろい/食育インストラクター